地球が巨大な磁石であるということ、証明できますか?

現役東大生のサイエンス入門「地磁気」
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では、ウィリアム・ギルバートはどのようにして地球が磁石であることを示したのでしょうか。

科学において大切なのは、仮説を立て、それを実験で確かめることです。特に彼は、真の科学的事実は実験と客観的観察によってのみ得られると考え、自分で実験もせずに昔からの言い伝えを根拠なく信じていたそれまでの科学者たちを徹底的に批判しました。

そのため、彼は近代において初めて実験を科学的方法として確立した一人であると言われています。

キーワードは「伏角」

ギルバートが、「地球が磁石である」という考えに至ったのも、実験と観測の結果からでした。その実験や観測に用いられたのは「伏角」という概念です。

「伏角」について説明しましょう。まず、方位磁針を縦に置くこと想像してみてください。

普段、方位磁針は水平面上を回転しますが、縦に置くと水平面に対して垂直な方向に回るようになります。さらに、方位磁針のN極が北を向くことができるような向きに置くとしましょう。そうすると、方位磁針のN極は水平面から上や下を向いて止まるようになります。このときの水平面からズレた角度を「伏角」と言うのです。

写真の左側が北になるように方位磁針を縦に置くと「伏角」を測ることができる photo by iStock

普通の方位磁針は針にムラがあり、精密な伏角の計測には向いていないので注意が必要です。その代わり、伏角を測るために調整された専用の「伏角計」という磁針が存在しています。

ギルバートは、船乗りたちに話を聞いたり、実際に「伏角」を計測してもらったりして、地球上の様々な場所での伏角について調べました。

その結果、北に行くにつれ磁針のN極がどんどん下を向くことが判明しました。じつはこれだけで、北極星や北極の山が磁石であるという説は否定されます。

もし北極星が引きつけているのであれば、磁針のN極は上を向き続けるはずですし、北極にある山が引きつけているのであれば、北極近海では磁針のN極はほとんど水平方向を向くはずだからです。

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