マスクなしで、感染リスクは
本当にないといえるの?

保育士さんも気にしていた、子どもの感染リスクも重要な問題だ。「マスクは不要といわれても心配」という保護者は少なくない。これに対する答えは、日本小児科医会から回答を得た。これまでに分かった子どもの新型コロナウイルス感染症の特徴として、次の3つが挙げられる。

1)国内外において子どもの感染者数は少ない
感染者全体の中で子供が占める割合は、中国では19歳未満2.4%、米国では18歳未満1.7%、韓国10歳未満1.0%・10〜19歳5.2%と、海外のデータを見ても多くはない。日本国内の感染者は、0〜19 歳では 606 人となり全体の3.9%(2020 年 5月 7日現在)。ちなみに、人口に占める小児の割合は 17%。感染者数は国内外みても数%にとどまっている。

2)子どもは感染しても、無症状や軽症が圧倒的に多く、健康な子どもの重症例は少ない
例えば、国内の小児(0〜19 歳)の重症例は、609人中2人で割合は0.3%。2人とも基礎疾患があったという。海外の例では中国・シンガポールからの18論文のシステマティック・レビューで、0〜9 歳の444例のうち、重症例は1例(0.2%)のみであったというデータがある。

3)感染の主体は「大人から子ども」であり、これまで「子どもから大人」、「子どもから子ども」の伝播の報告は極めて少ない
香川県の保育園での感染事例では、職員 11 人が感染し、園児の感染は 147中2人だった。海外の事例として、オーストラリアでは15の学校で18 人の患者(9人の生徒と9人の学校職員)が 863 人(職員 128 人、生徒 735 人)と濃厚接触があったにも関わらず、子どもで感染したのは生徒2人(小学生、高校生各1名)だけだった。
フランスでは、症状のある9歳児が 112 名と濃厚接触後、感染者なしとの報告がある。

さらに、国内で休園・休校中に開いていた保育園、学童保育などでの集団感染の報告はなく、4月の学校再開後、子どもが発端の園・学校のクラスター発生は報告されていない。5月31日に北九州市の小学校での発生がニュースとなっているが、6月1日現時点では子供がクラスターの原因とは特定されてはいない。感染した子どもには大人と同等のウイルス量が存在し、大人と同様に他に感染させる可能性はあるが、その強さについては不明である。

出典:小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状(日本小児科学会)http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=342

こうした理由から、日本小児科医会では
●子どもは新型コロナウイルスに感染しにくく、重症化もしにくい
●子どもからの感染、子ども同士での感染もとても少ない

として「感染している人のくしゃみや咳に含まれる飛まつを直接浴びないという観点からは、マスクをする利点はあるかと考えられるけれども、小さな子どもでは現実的ではない」という見解だ。また、「子どもの患者のほとんどは、家庭内において保護者から感染しているため、保護者が感染しないことや、感染した方から2メートル以上の距離を保つことが子どもの感染予防につながる」としている。

マスクは、その機能や効果以上に、周りに対するエチケットとして社会に広まっている感がある。だが、そこはやはり科学的な根拠に基づいて効果があるか、意味があるかを考える必要があるだろう。そのうえで、マスクをする・しない、どちらがリスクかということを十分に考えると、2歳未満、もしくは呼吸機能が未発達な子どもに対しては、マスクは不要と判断できる。

親や保護者は、子どものためにマスクをさせようとする。そして周囲もマスクをしていないと冷たい目で見ることもある。だからこそ、親だけではなく多くの人が、マスクが2歳以下の子どもにどのような影響を与えるのかを知っておく必要がある photo/Getty Images