小さい子どものマスク着用はなぜ危険なの?

まずはじめに、マスクの役割についておさらいを。
詳細は厚生労働省「新型コロナウイルスとマスクの効果について」を参照していただきたいが 、大事な点は「マスクをする目的は、会話の際などに、人と人の間でのツバ(唾液)を介した飛沫感染を防ぐこと。また、ウイルスが手を介して口や鼻に直接触れることを防ぐためで、ウイルス粒子を完全にブロックすることはできない」ということだ。唾のかからない距離で、人から離れているときにマスクをしても感染予防の意味はなく、米国CDCは「マスクよりも2mの距離を置く方が有効」としている(日本小児科医会の回答より)。

以上を踏まえたうえで、専門家のアドバイスをみていこう。

増田先生は「まず、大人と低年齢児では、呼吸する能力が全く違うということを理解しましょう」と話す。低年齢児の特徴として
●大人に比べて呼吸筋、横隔膜筋が未発達
●換気する場所である肺胞が少ない
●物理的に空気の通り道である、のどの気道のサイズも細い
●心臓が小さく心臓のポンプとしての働きも弱い
●それにも関わらず、酸素をたくさん必要とする

酸素の消費量は体重あたりにすると、大人の2.5〜3倍ぐらいになるという。

呼吸数にすると、年齢でこんなに差があるのだ。
新生児 35~50回/分
乳児 30〜40回/分
幼児 20〜30回/分
学童 20回/分
成人 16〜18回/分

出典:看護roo!(https://www.kango-roo.com/learning/2486/

低年齢児は酸素をたくさん必要としていて、もともと呼吸数が多い。肺が発達した大人とは事情が異なる。マスクを着けていると、入ってくる空気の量が少なくなるので、小さい子は一生懸命「呼吸筋」を使って空気を吸わないといけなくなる。つまりとても苦しいし、ずっと“筋トレ”をしているような状態になるため体に大きな負担がかかるのだ。

しかも、言葉で伝えることが未熟な2歳未満は、苦しさが生じても親に上手に伝えられない。周囲の大人も、マスクで表情を読み取りにくくなる。

「苦しそうにしていたり、何か具合が悪いときに、保護者が気づかないまま放置してしまい、事故や病気の発見が遅れることにもつながるのです」(増田先生)

さらに、乳幼児は吐き戻しも多い。「乳児は唾液の量が多く、口の中の空間に占める舌が大きい。ミルクを飲んだ後に吐いたりすることもよくあって、その際マスクをしていると誤嚥(※)の原因にもなります。また、鼻水が垂れてたんが喉にたまっていると、酸素供給の妨げにもなりやすい。最悪の場合、窒息死してしまう可能もあるのです」(増田先生)

大人と子どもでは、生理的な機能がまるで違うということを理解した上で対応することが大切だ。
(※)誤嚥:食物などが、なんらかの理由で誤って喉頭と気管に入ってしまう状態のこと

感染拡大のペルーでは、乳幼児にマスク+フェイスシールドを着用する人も。さすがに苦しそうだ photo/Getty Images