「2歳未満はマスク不要」の緊急呼びかけ

日本小児科医会は5月25日、「2歳未満の子どものマスク着用は危険であり、マスクは不要である」という見解を発表した。ニュースでも取り上げられていたので、もう耳にした人も多いかもしれない。乳児の場合はマスクをつけることで、呼吸や心臓の負担になったり、窒息や熱中症のリスクが高まるためだ。

先日も中国で体育の授業中に中学生が突然死する事故が報告され、日本でも運動中のマスク着用による熱中症のリスクが懸念されていたところだった。

いまなぜ、乳児のマスク着用について注意喚起がなされたのか。
日本小児科医会に問い合わせたところ、「小児科診療所でも乳児にマスクをされているケースが目につくようになってきたこと」や、「アメリカCDC(疾病管理予防センター)、AAP(アメリカ小児科学会)では、すでに2歳未満のマスク着用について警告を公表しており、日本国内での情報周知が急務と考えた」とのことだ。

海外でも乳幼児のマスク着用には注意喚起する国が増えている photo/Getty Images

「マスクなし」のリスクと
「周囲の目」に揺れる親たち 

この発表の直後、私は、地域で子育て支援を行う団体代表の女性から「このマスク問題、親の間では動揺が広がっています。問い合わせがとても多いです」という相談を受けた。確かにマスク不要と言われても、「じゃあマスクに代わる対策は?」と新たな混乱を招きそうな気がした。また「じゃあ、2歳を過ぎたらマスクをしてもいいの?」と、不安に思う保護者も多いのではないか。早速聞き込みを開始すると、親たちや保育士さんの動揺というのは、次のようなものだった。

●親や兄弟がしているのに、なんで赤ちゃんは無防備なのかという視線を感じたり、直接いわれたこともある。買い物時やどうしても連れて歩かなくてはいけない場合、周囲の人の反応がとても気になる。都心で暮らしているから、神経質なのかもしれないけれど(2歳男児のママ)

●マスクを嫌がる子どもに対してよかった面もあるけれど、それに代わるものはないのでしょうか。例えば、手指の消毒をきちんとしてあげれば大丈夫などの代替案が欲しい(2歳女児のママ)

●子どもの川崎病の話題もあがっている。子どもが(新型コロナウイルスに)かかっても本当に大丈夫なのか不安は残る(1歳8か月のママ)

●マスクがダメなら、フェイスシールドではダメなのか。区役所などが間に立って、よい製品を、欲しい保護者に安価で入手できるようにするなど、支援をしてくれるなら買いたい(0歳のママ)

ある人は、マスクをしないでいたらしなかったで「なぜマスクをしない?」「子どもは軽症だから大人にうつしてもいいと思っているのか!」などと、心ない言葉を浴びせられるのではないかと怯えてもいる。

また、東京都内の保育園で働くベテラン保育士からは「保護者に説明する上でも、マスクがダメなら、どうやって予防すればいいのか。例えば、こういう症例があるから、(マスクをしなくても)大丈夫ですという詳しい説明が欲しい」という声、「保護者から絶対マスクを外させないでほしいと頼まれることもあるが、どう対応すべきか」という悩みも聞こえてきた。

最近では、帽子やサンバイザーに透明のフェイスカバーをつけた、子ども用フェイスシールドがネット通販でも販売されている。新たに登場した“新型コロナ対策グッズ”の安全性についてはまだ明確な基準がなく、気になりはじめるときりがない。

ともかく、子育て中の親たちや保育士さんの不安を解消するためにも、もう少し情報が必要だ。そこで、日ごろ大勢の子どもの診察に当たり、喘息など小児アレルギーの専門医でもある、同愛記念病院(東京都墨田区)小児科の増田敬医師と日本小児科医会に、取材の中で上がった声に回答してもらった。