Photo by GettyImages
# 新型コロナウイルス # 中国 # 香港

暴走止まらぬ中国・習近平、意地でも「香港国家安全法」を急ぐワケ

世界にまた新たな火種が…

中国を襲う内憂外患

中国の習近平国家主席は5月28日、香港の自由と自治を揺るがす歴史的な方針転換に動いた。中国の国会に相当する「全人代(全国人民代表大会)」で、反体制運動を禁止する「香港国家安全法」の制定方針を採択して、全人代を閉幕したのだ。明らかに、香港の最大の特色である「1国2制度」の終焉にリーチをかける行為である。

そもそも、香港は、英国の19世紀のアヘン戦争の勝利によって南京条約で同国に割譲された島だ。租借期限が切れ、中国への返還式典が行われた1997年7月1日、当時の江沢民国家主席は居並ぶ各国要人を前にして1国2制度の堅持を表明した。

具体的には、香港を「高度な自治」権を持つ特別行政区とする「香港基本法」を制定、「従来の資本主義制度および生活様式を保持し、50年間変更しない」ことを保障したのだ。

Photo by GettyImages
 

1国2制度が定められた背景には、香港住民と国際社会が、人権を抑圧する中国型の統治制度が香港に持ち込まれると危惧したことがある。香港返還に関する中国と英国の共同声明にも、中国が香港に言論、出版、集会、結社などの権利と自由を保障すると明記されている。

このように中国には、香港住民と国際社会に約束したことを守る義務がある。しかし、返還から23年が経ち、ここ数年は、中国が香港の民主化運動を抑圧すればするほど香港の民主化運動は大規模化・過激化してきた。中国当局が発想転換を求められているのは明らかだ。

すでにトランプ米政権が制裁措置を打ち出しただけでなく、国際社会も外為市場も固唾を飲んで中国の次の出方を見守っている。経済成長の大幅低下予測、中国からの資本流出懸念、対米貿易戦争の再燃、新型コロナウイルス対策など内憂外患に溢れる習近平体制にまったく余裕がないのは明らかだ。

しかし、ここは習近平体制がしっかりと自重すべきである。もし、米国との報復合戦を始めたりすれば、国際情勢は第2次世界大戦以降最悪の事態に陥りかねない。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら