今年のはじめ、現在のような状況を予想していた人がどれだけいたでしょうか。新型コロナウイルスが猛威をふるい、人は全世界的にこれまで通りの生活を送ることができなくなりました。

人は「新しい環境」に馴染むまで月単位かかる

人は環境が変わると、それに馴染むまでに少なくとも月単位の時間を要します。分かりやすい例は「五月病」です。五月病という診断名は医学的なものではありませんが、ほとんどの人が耳にしたことがあると思います。新年度になり環境がガラっと変わった時、過ごしにくさを感じながら日々を送るうちに、気づいたら得体の知れない不調に苛まれはじめ、五月頃にはかなりの辛さを抱えるようになってしまう、というものです。

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五月病がポピュラーなものであること、実際に経験がなかったとしても多くの人がそういう状態ってありえるなぁと想像できるであろうことは、環境変化が生じた際の過ごし方の難しさを皆がある程度共有している証と言えそうです。我々がスイッチやプログラムで動作をコントロールできる機械だったとしたら、設定を新たな環境に向けてアップデートした瞬間に、その環境に適応した動作が可能になるのでこのような難しさはないはずです。でも人は生物、つまりアナログな存在なのでそのようにはいきません。

環境が変化するというのは、細部に目を向ければ、それまでの環境と比較して無数の違いがあり、生活のペース、周りにいる人、休めるタイミング、生じる責任感、などなどキリがありません。そして多くの場合、はじめはほぼ全ての側面において、それまでの環境の方が居心地良いはずです。

「住めば都」という言葉がありますが、これは住んでいるうちに住み方の勝手が分かるようになったから居心地良くなったことを意味します。逆に言えば、住み方の勝手が分からない新たな環境では恐らく、都イチの豪邸だったとしても、どこかで疲れてしまう部分があるはずです。