自殺者が後を絶たない…リアリティーショーは「現代の剣闘士試合」か

あまりに残酷な「感情労働」
斎藤 環 プロフィール

残酷な娯楽の系譜

古代ローマでは円形闘技場でさまざまな闘技が見世物として人々の娯楽となった。剣闘士(グラディエーター)による猛獣との闘い、あるいは剣闘士同士の闘いに人々は熱狂した。キリスト教の影響で衰退するまで、この手の残酷な見世物は数百年近くも続けられたのである。いわゆる「パンとサーカス」のサーカスにあたる血なまぐさい娯楽。闘いはかならずしも殺し合いではなかったようだが、おびただしい流血が大衆の眼を歓ばせていたことは間違いない。

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現代の剣闘士試合というのなら、プロレスとかボクシングとか総合格闘技がそうだろう、という指摘もありうるし、そのことは否定しない。ルールに則った形で身体的な暴力の応酬を観たいという欲望は、こちらの形式で満たされるだろう。格闘技はリアリティーショーとも相性が良いらしく、かつては『ガチンコ!』などの番組が人気を博していた。もっと言えば、世界最大のプロレス団体WWEのCEO、ビンス・マクマホンは、プロレスにリアリティーショー的演出を持ち込んだことで知られるし、彼の盟友でアメリカ大統領のドナルド・トランプは同様の番組『アプレンティス』で一躍有名になった人物だ。このあたりの問題はいくらでも広げられるが、今は深く立ち入らない。

『テラスハウス』は「台本のない男女6人の新たな青春の日々」をコンセプトに2012年から放送開始している。シェアハウスで暮らす男女の生活を映した「恋愛リアリティー番組」であり、木村さんは2019年から出演していた。この番組中で起こったある「アクシデント」で、木村さんが共演者に見せた攻撃的な態度に、SNS上で激しい批判が集中したのである。