テレワークで「存在意義」を問われる中間管理職たちの圧倒的な苦悩

求められる「上司力」が変化している
前川 孝雄 プロフィール

つまり、テレワークが広がるなかで上司は部下の働きぶりが見えないため、ダラダラしたりサボッているのではないかと疑心暗鬼になっているのだ。近年は1on1ミーティングなどが奨励され、日常的に細かく部下と面談し仕事ぶりを把握することこそが管理職の仕事であるといわれてきたこともあり、真面目な上司ほど、職責を果たせず、自身の存在意義を発揮できないと焦りを感じているのかもしれない。会社組織として社員の働きぶりを管理しきれない危機感のあらわれともいえそうだ。

一方で、部下側の意識は対照的だ。「テレワークをしてみて感じたこと」で部下にあたる一般社員は、1位が「人間関係のストレスがなく気楽」(36.7%)、2位が「仕事態度に緊張感がなくなった」(28.0%)である。かたや管理職の答えの1位は「通勤時間がない分、読書や勉強などスキルアップの時間が持てる」(37.8%)、2位は「人とのコミュニケーションがなくさみしい」(30.6%)だ。上司は寂しく部下は気楽という、意識のギャップが表われている。

 

管理職の「存在意義」が問われる

さらに興味深いのは、「テレワーク長期化に伴う組織課題」に関する意識調査(2020年4月・Unipos)で、管理職と一般社員の双方に対し『新型コロナウイルス感染症が収束した後も、会社にテレワーク推進を望みますか』と質問したところ、「とても望む」「やや望む」と回答した人の合計は管理職56.1%、一般社員41.0%となり、テレワークが気楽なはずの部下側よりも上司側が15ポイント以上も高くなっている。

おそらく、部下側はプレイヤーとして働いているので、関係者と連絡をとりあったり、資料がすぐ見られたり、ネットワークやプリンターなどが整っているオフィス環境で働くほうが仕事ははかどるためだろう。出社しないことには仕事が進まないケースもあるはずだ。さらにいうと、煙たい上司がいなければ、オフィスでものびのび働けると考える人も少なくないだろう。

一方で、上司側は実務を担うことが少ないため、出社せずとも仕事は成立すると考える人が多い。出社できなければ部下をマネジメントしづらいと悩みながら、在宅勤務でも部下より仕事に支障は少ないという、一見相矛盾した実態が見えてくる。やはり、管理職としての存在意義とは何なのかがあらためて問われている。

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