簡単に真似されないビジネスを立ち上げるための発想とは?

『問題発見力を鍛える』vol.16
細谷 功 プロフィール
 

抽象度を上げて問題を発見する

単なるパクリの問題点は大きく2つあります

一つは、例えばある書籍の内容を「丸写し」したとか、デザインを「そのままコピー」したといった場合のように、何等かの法律的な権利を侵害する可能性が高いということです。

そしてもう一点、これが今回のポイントになりますが、単なるパクリは「誰でも気づけるためにすぐにまねし返されて差別化が難しい」ことです。

ではどうすればよいでしょうか?

ここで、どのような差を見つければ見つかりにくいのか? を考えてみます。例えば隣り合うお店同士で同じものを別の値段で売っていれば。これはすぐにその差を見つけられることになるでしょう。

ではお店同士が他県だったら、もっと言えば地球の裏側の海外だったらそう簡単にはと考えていくと、「近くでなく遠くから持ってくれば真似されにくい」ことがわかります。また「近くのもの」は、持ってきたのがだれの目にもすぐにわかってしまいますが、「遠くのもの」は簡単にはわかりません。

それでは知的資産としてのアイデアで「遠い」というのはどういうことを意味するのでしょうか?もちろんこれは海外という意味での遠いことでも良いかもしれませんが、物理的世界を超えたアイデアであれば、遠いというのは「意外な領域」(全く関係なさそうな違う業界やビジネス以外の領域)からもってくれば良いことになります。

さらに次に出てくるであろう疑問は「違う世界であれば、確かに自分の世界にないものはたくさんあるかも知れないが、それは果たして自分の世界で役に立つのか?」ということです。

ここで考えるべき視点が「具体と抽象」です。簡単に表現すれば、具体とは直接目に見たり触ったりといった五感で感じることができるものです。反対に抽象というのは目や耳でなく「心の五感」、つまり思考することによって感じられるものということになります。

要はパクリとは五感のレベルの真似であり、アナロジーとは「知の五感」(思考力)のレベルの真似で、これが「具体と抽象」の相違になります(下表参照)アイデアでもパクったことで問題になるのは具体性の高い「誰が見ても類似点が明白なもの」であり、抽象度の高い真似は多くの場合問題になりません。

別の見方をすると、抽象度を上げれば上げるほど多くのものが同じになってくるので、これをいちいち咎めることは不可能です。例えば、「顧客に他では味わえない満足を与える」というレベルの考え方であれば、真似をしても全く問題はないでしょう。

「差を見つける」のが問題発見だとすれば、具体レベルという誰でも比較的すぐに見つけられる差を見つけるのではなく、心の五感を研ぎ澄まして抽象レベルでものごとを眺めることによってそのような問題が見つかってきます。

ではそのような抽象レベルでものごとを眺めるとはどういうことかを次回以降に解説したいと思います。