問題発見とは「差を見つけることである」と前回お話ししました。要は2つの世界を比較して、Aの世界にはあるがBの世界にはないものを見つければ、それらが(Bの世界にとっての)問題ということになります。
そこでAにあるものをBにもっていくことでBの世界における不足が解消されることで問題が解決するというわけです。ビジネスや経済の世界では、需要と供給の関係、あるいはニーズとシーズの関係がこれらに対応します。
同様なことが知識や情報、あるいはノウハウといった知的資産をこのような関係に当てはめてみると、この構図を知識や情報といった知的な世界で行うのがアナロジー思考です。
しかしながらここには一つ大きな違いがあります。Aの世界にしかないものをBの世界に持ち込むことで利益を得るという、一般の貿易やアービトラージ(裁定)取引においては必ずもらう側が何等かの対価を払う必要がほとんどで、勝手に他人のものを「持ってきて」しまっては犯罪になります。
ところが「アイデアの貿易」においては基本的にはアイデアを右から左へ流すことには(特許権や著作権といった特別な権利に守られているものを除けば)基本的にお金がかからない場合の方が多数派であるといえるでしょう。したがって、初心者の人が何かを始めるときにはまずは熟練した人のやり方を「徹底的にパクる」ことが重要だという人もいます。
ここでパクるというのは、形になっている「モノ」ではなく、「とにかくやってみる」とか「数をこなす」とか「失敗は早めの方が良い」といった「知的資産」です。これらは基本的に「タダ」なので、流せるものは(上記のような法律的権利に触れない範囲で)見つかっただけすぐに「持ってくる」ことが必要です。
ここまでお話してくると、容易に想像される疑問は、要は「違う世界のアイデアをひたすらパクれば良いということか?」ということになります。これに対する答えは半分Yesで半分Noです。
ここで重要なのがアナロジーと「単なるパクリ」の違いです。