「スルースキル」は「強さ」じゃない

そうした誹謗中傷に苦しむ人に対してよく言われるのが、悪口を言われても無視すればいい、という意見だ。

いかに自分への悪口を無視できるかを「スルースキル」などと呼び、まるで技術力のように称賛する風潮すらある。実際僕も、Twitterで自分のセクシャリティを否定された時、わざわざそれに動揺するのも馬鹿らしいと思って積極的にスルーしてきた。

だが、今改めて思う。それは決して強さなどではない。現に僕は、全く強くなんてなかった。

でなければ、19歳の時、僕も死のうなどと思わなかっただろう。

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ゲイであることを直接誰かからかわれたり、それを理由にいじめられたりしていたわけでもない。そもそもゲイバーに出入りするようになるまで誰にもカミングアウトしていなかったし、誰も僕がゲイだとは知らなかったはずだ。

でも、だからこそ、みんな無邪気に僕に言ってくるのだ。「ホモ気持ち悪いよね」と同意を求めながら。生まれてから19年の間に、そうした自分自身を否定する言葉を繰り返し聞き続けた結果辿り着いたのが、自殺という選択肢だった。