中国の「対米ヘイト言論」が暴走中…「戦狼」ナショナリズムの行方

外敵を作り国民の注意をそらす?
古畑 康雄 プロフィール

責任をナショナリズムに転嫁

このような対外的な激しい敵意は、どのようにして生まれたのか。BBCの報道によれば、中国が当初、国内にあった強烈な責任追及の声を、海外への攻撃へと転換する上で、「ナショナリズムが大きな武器となり、民間に浸透していった」のだという。

感染が世界全体に広がり、中国に対する責任追及の声が強まる中、政府の巧みな世論工作によって、「中国は新型コロナとの戦いに勝利した、悪いのは対応をしくじった米国などであり、中国に責任はない」という考え方が広まり、民衆が支持するようになった。

2014年に日本でも出版された「中国の歴史認識はどう作られたのか」の筆者で、在米の学者、ワン・ジョン氏に以前インタビューしたことがあるが、彼は中国のナショナリズムはアヘン戦争以降、中国が列強から圧迫を受けた集団的な恥辱の記憶によって作り出されたと述べている。

 

まさに今回も米中の対立が深まる中で、中国政府が本来負うべき責任追及の問題を「海外からのいわれなき攻撃」としてナショナリズムを高める方向に巧みに誘導し、世論がこれに乗ってしまったという状況なのだろう。

だが、こうした状況を中国国内のリベラルな識者らはどう考えているのだろうか。秘匿性が高い交流アプリを使い、彼らの意見を聞いてみた。