これは日本のスゴさ?ヤバさ?緊急事態に生まれた「電車内の新ルール」

日本を覆った独特の「空気」の記録
堀井 憲一郎 プロフィール

とてもスマートなルール

これはじつは考えて人為的に行動しないと守られない座り方でもある。

つまり、両端AとGに人が二人座っていて、その二人から離れて座ろうとするとふつう人はまん真ん中Dに座りたがるからだ。

●B.C●E.F●

これである。

2席ずつ空けて、充分に距離を取って座りたいとおもうのが、まあふつうの感覚だろう。

ただ、それだと7人掛けの座席に3人しか座れない。

〔PHOTO〕iStock
 

自分が乗った駅から、そのままずっと人が増えなければそれでもいい。青梅駅から奥多摩に向かっているのなら、それでかまわないかもしれないが、山手線ではそうはいかない。途中で人が増えないなんてことはありえない。

だから最初から一席空きを想定して、そのぶん寄せて座る。

●B.CDE.F●

この状況でDではなくCかEに敢えて座る。

この敢えて座るところが、東京らしい新ルールというわけである。片側を広く空けて、片側に近づいて座るのだから、意識しないとなかなかそう座れない。でもそうすればあとからもう1人座れる。あとの人のことを考えての着席である。スマートである。

そのことについて、誰が何かを話し合うわけではなく、どこか教示されるわけでもなく、みんなが直感的に理解して、みんながその座り方をしているのだ。

そこが都会らしい。東京らしくて、日本らしい。