坂元裕二が描く、本物の家族の「虚実皮膜」

こうした感想に手応えを感じたのか、NHKは本日5月30日と6月6日に第二弾となる『リモートドラマLiving』を放映する。

全4話からなる『リモートドラマLiving』の出演者は、現実でも兄弟・姉妹・夫婦であるほんものの「家族」だ。今夜放送の第1夜には広瀬アリス×広瀬すず、永山瑛太×永山絢斗、第2夜には中尾明慶×仲里依紗、青木崇高×優香という奇跡のキャスティングが実現した(ちなみに、青木崇高と優香は、先述した近松門左衛門について描いたドラマ『ちかえもん』での共演が縁で結婚している)。

『リモートドラマ Living』第1話 NHK総合5月30日(土)午後11時30分~放送予定(C)NHK

日々生活を共にする夫婦や兄弟・姉妹なら、仮に同じ空間で撮影しても新型コロナウィルスの感染を最小限に抑えることができる、という考えもあっただろうが、虚実皮膜を強調した作品をつくるためにNHKが確信犯的にキャスティングしたと筆者は考えている。

脚本は、ここ10年近く「家族」を描き続けてきた坂元裕二。『それでも、生きてゆく』『Woman』では本物の家族の複雑性を、『最高の離婚』では夫婦のおかしみや、わかりあえなさを描いた。近年の代表作である『anone』『カルテット』では「血がつながっていないけれど、心のどこかで家族の“ような何か”で結びついている人々」を描いている。2018年の舞台『またここか』では、まったく違う世界で長い年月を生きてきた異母兄弟について描いた。

リモートドラマ4作は、長年広い意味でも狭い意味でも「家族」について描いてきた坂元が、リモート時代ならではの家族について描き出す意欲作となるだろう。そして、「どこまでが本人たちの本音で」「どこからが坂元が書いたセリフなのか」、その境目が溶け出して曖昧になる、まさに虚実ないまぜとなったシーンがふんだんに盛り込まれるはずだ。