『直虎』チームによる虚実皮膜の傑作

この「虚実皮膜」を確信犯的に取り入れたのが、第3夜の『転・コウ・生』だ。脚本・森下佳子、出演・柴咲コウ、高橋一生、ムロツヨシとくれば、ドラマ好きの読者はもうおわかりだろう。2017年に放映された大河ドラマ『おんな城主直虎』チームが再結成してつくられた作品だ。

設定はいたってシンプルだ。柴咲コウ、高橋一生、ムロツヨシ、そして柴咲コウの飼い猫「のえる」(実際に柴咲さんが飼っているそうだ)がそれぞれ本人役で出演し、3人+1匹がぐるぐると入れ替わるというものである。

『今だから、新作ドラマ作ってみました』第3夜「転・コウ・生」(C)NHK

作中には俳優本人の「日常」が設定やセリフにふんだんに盛り込まれている。例えば、ムロツヨシが毎朝行っているインスタライブ『8時16分だョ! 湯呑みでコーヒー』がタイトル画像もそのまま登場するし、「ムロになった柴咲コウがインスタライブを配信する」シーンも出てくる。

また、柴咲コウとムロツヨシがプライベートでも「親を紹介するほど仲が良い」(5月22日放映TBS『A-Studio+』より)ことをうまく生かし、「俺……俺、ずっと好きだったんだから!」と言わせたり、高橋一生が柴咲コウのことを「殿(『おんな城主 直虎』での役柄より)」と呼んでいるのもプライベート感があふれていて面白い。

このように「どこまでが現実でどこまでがつくりものかわからない」作品は、見るものをハラハラさせ、良い意味で混乱させドキドキさせる。

SNSでも、「もしかしてムロさんのインスタ、コウちゃんが配信してた日があったの?」「ほんととお芝居がごっちゃになってる」などの感想が多数見られ、虚実皮膜なストーリーに刺激を受けた視聴者が多かったようだ。