もし陽性ならどうなるか

陽性だった場合はどうなるのか。
「当院では、 感染症科と相談しながらCTや血液検査など肺炎等の有無をみる追加の検査を行います。 新型コロナ感染者用の病棟に入院し、そのあとは経過によります。明らかに感染が認められた場合は、当院では『感染中の出産は帝王切開となる』とご説明しています」

佐村さんは妊婦の胸の内を想像する。

「症状もない元気な妊婦さんが、PCR検査を受けた結果『陽性でした』と言われたら衝撃的かもしれません。帝王切開の可能性も高まってしまいます。しかし、症状がない人が多いということは報道によってご存知の方がほとんどです。検査で早く見つかったことのメリットの方に、気持ちを向けていただくしかないと思います」

もし、自分がウイルスを出していることを知らずに出産したら、分娩の介助に当たってくれた医療従事者、そして赤ちゃんにもうつしてしまう可能性がある。また、新型コロナウイルス感染の治療においてもメリットがあり得ると佐村さんは言う。

「新型コロナウイルス感染症の症状が出てきたら、すでに入院していただいているわけですからすぐ治療を始められます。重症化の恐れが出てきたら早めに出産し、母体治療を優先することも可能です」

慈恵医大は、早くから新型コロナウイルス感染症との闘いを始めた病院だ。2月初旬、ダイヤモンドプリンセス号で新型コロナウイルス感染症を発症した3名の患者を受け容れた。慈恵医大は感染症指定病院ではなかったし、当時は、まだ患者受け入れを拒否する病院も多かった。その中で早期から、高度医療が可能な特定機能病院としての使命を果たすべく一般病棟をつぶして新型コロナウイルス感染症患者を受け容れたのだ。

2019年9月のダイアモンド・プリンセス号。2020年2月の感染拡大を受け、慈恵医大も患者を受け容れた Photo by iStock

院内感染による外来の閉鎖も早い時期に経験し、コロナの怖さを痛感した。4月2日、患者、医療従事者合わせて21名がPCR検査で陽性を示したことが公表された。入院予約・外来初診・救急診療や人間ドックがストップし、現在では大半の科で初診が再開しているが一部は今に至るまで再開していない。