医療スタッフは、PCR陰性でも
防護服をつけてお産に挑む

「PCR検査をしても、感染者の3割くらいは見逃してしまうことは十分承知しています。それでも、7割の人は検出できるのなら検査をする意義はあると判断しました

東京慈恵会医科大学附属病院の佐村修さん(産婦人科学教授)は言う。この病院では4月末から、出産で入院する妊産婦の全員がPCR検査を受けることになった。大学の基礎講座を基盤にした自前の検査PCRセンターが立ち上がったので、検査はそこでおこなわれる。附属病院に入院する人専用の検査センターで、検査にかかる費用は、病院が負担してきた。他科に入院する患者は肺炎を調べるCT撮影もおこなうが、妊婦は被爆を避ける意味でPCR検査だけを実施している。

東京慈恵医科大学付属病院の佐村修さん(産婦人科学教授)。4月後半、入院する妊婦全員へのPCR検査を都内でもいち早く開始して、現在約1ヵ月が経過

産科病棟は、呼気量が多くなって飛沫も飛ぶ分娩があるだけではなく、感染対策がとりにくい事情もある。どの病棟も急がない手術は延期し、患者数を減らすことで院内感染対策をとってきたが、産科はそれができない。

「病院の中で唯一、お産を延期することはできない産科だけが普段のように満床です」

計画無痛分娩が多い慈恵医大では、入院日の前日にPCR検査を受け、翌日入院して陣痛誘発を行い出産する方法をとっている。院内検査なので、院外の検査会社に提出するよりも結果が出るまでの時間は短く、午前中に検体を採取すると検査当日の夕方には結果が判定される。「陰性」という結果が出たら、翌日、予定通りに入院し計画出産するという流れだ。ただし、本当は感染しているのに陰性と判定される可能性も考慮し、分娩を介助するスタッフの人数をできるだけ少なくし、常に防護具を着けて出産に臨む。

佐村さんに分娩室で使用している防護具を写真に撮っていただいた。PCR検査が陰性の妊婦さんの分娩でも、飛沫を避けるためのフェイスシールド、マスク、手袋、ガウンを着用 写真提供/佐村修さん
長袖のガウンは不足している。ない場合はエプロンを着用 写真提供/佐村修さん
 PCR検査が陰性でも分娩室への夫の入室はなく、医療従事者も最低限の人数に抑えている 写真提供/佐村修さん