そして私は、「弱者でもやり方次第で強者に勝つことができる」ことを知った。
監督時代、ミーティングで選手たちに伝えていた「弱者の戦い方」のポイントはこうである。
(1)全体と全体で戦うのではなく、相手の弱点を重点的に攻める
(2)相手の得意な形にしない
(3)強者の弱点を知る。全体は強く感じても、部分を見ると弱いところは必ずある
(4)戦力を集中させる
(5)力以外の何かを探す(機動力、奇襲、データ、ムード、勢い)
(6)「自分にできること」ではなく「チームに役立つこと」を優先する
(7)準備野球では毎試合勝たなければならない(こうすれば勝てるという具体的攻略法、優越感を持てる材料を探しておく。「果報は寝て待て」と言うが、「果報は練って待つ」もの)
(8)データは細かく、心理面が表れているものほど使える
どんな人であっても、何かしらの可能性を持っている。野球で言えば、「投げる球が速い」「足が速い」「バットに当てるのがうまい」「守備がうまい」など、才能や素質が必ずあるはずだ。それぞれが持つその可能性を最大限発揮させるために、指揮官は常に状況を素早く判断し、最善の戦術を駆使していくことが求められる。
考えに考え、チームとして機能していく。それこそが弱者の戦い方を進化させる条件なのだ。