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名将・野村克也氏が説く「弱者が強者に勝つための8つのポイント」

ノムさん最後のメッセージ(2)
野村 克也 プロフィール

弱者が強者に勝つためには

「弱者には弱者の戦い方がある」

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現役時代に気づいたこの考え方は、監督時代にも大いに役に立った。私が南海ホークス退団以降、監督を務めたプロ野球の3球団は、いずれもBクラスからのスタートだった。否が応でも「弱者が強者に勝つには、どうすればいいのか?」を考えなければならなかった。

試合中、相手チームが「えっ?」と思うような作戦をたびたび用いたため、私は策士と呼ばれることも多かった。

「奇策」とも言える作戦を繁用していたのは、私が弱いチームの監督だったからだ。お金をかけて選手を集めてくれる強いチームの監督であれば、王道を行く正攻法で戦っていけばいい。

しかし、弱者として戦っていくには、頭を使った作戦(それをマスコミは「奇策」と呼んだが、私にとっては蓄積したデータをもとに練った根拠のある「戦術」だった)を用いざるを得なかった。

こういった戦術を取るにあたり、一番肝心なのは「選手たちに頭と体で理解させる」ことである。だから私は、キャンプ中からその戦術の意図するところをしっかり説明し、選手たちに理解してもらうよう努めた。

 

そもそも、私がこのような頭をひねった戦い方をするようになったのは、現役時代に「努力だけではどうにも越えられない壁」に幾度もぶつかったからだ。壁にぶつかるたび、「どうしたらこの壁を越えられるか」と考え、知恵を絞り、練習を重ねることで、壁を一つひとつ越えていった。