日本人は知らない…日米安保条約がもはや「あてにならない」本当のワケ

日本人が持つ「無意識の闇」の正体
橋爪 大三郎 プロフィール

「軍人」たちの不満

けれども一部の日本人、特に軍人たちは、この考え(天皇機関説)に不満だった。

天皇は、帝国憲法の規定がどうあろうと、昔もいまも現に日本を統治している。軍は天皇に直属しており、統帥権(軍事指揮権)には政府も議会も口を挟めない。ならば機関説は誤りである。−−天皇親政説である。

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軍人たちの妄想はさらに膨らむ。

日本の社会の矛盾や困難は、腹黒い財閥や政治家のせいである。天皇が大権を用いて、彼らを追い払い、もう一度維新を行なえば国はよくなる。軍人はその先頭に立とう。天皇親政を夢みて、五・一五事件、そして二・二六事件が起こった。財閥も政治家も縮みあがって、軍部の言いなりになった。

通説だった天皇機関説を大学や社会から一掃し、天皇親政説だけにしてしまったのが、国体明徴運動である。

財閥も政治家も国民も、軍部の言うことを聞け。その運動の仕上げが、『國體の本義』。皇国イデオロギーのかたまりだ。

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