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コロナでインフルエンサーバブル崩壊、次に影響力を持つのは誰か?

アーティストの未来像

コロナウィルスのパンデミックによって、「Z世代」(1996年から2015年の間に生まれた世代)のマインドはどう変わってきたのか? そして音楽やアートはそれを踏まえてこの先どう変わっていくのか?

「SNSを通して常に大勢の他人とつながっている状態」を前提として育ってきた初めての世代であるZ世代。その価値観の大きな特徴となっているのは、共感されないことへの孤独感や将来への不安だ。その一方で、気候変動などグローバルな社会問題を解決する当事者意識も強い。精神的に葛藤を抱え、未来に対して絶望しているその一方で、世界中の同世代と繋がろうという積極性も持ち合わせている世代だと言える。

ビリー・アイリッシュやコナン・グレイなど世代を代表するミュージシャンからそのマインドを読み解いた前編に続き、後編ではインフルエンサーの役割の変化、パンデミックによって大きな困難に直面する一方で影響力を徐々に拡大しているアーティストの未来像について、英語圏のメディアの記事を引用しながら解説する。

激動の時代だからこそ、より良い社会を思い描くためには、カルチャーの先行きについて考えることがとても有効になるだろう。

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コロナウィルスによるインフルエンサーバブルの崩壊

コロナウィルスのパンデミックによって大きな変化に直面しているものの一つが、いわゆるインフルエンサー・マーケティングだ。

2010年代はインフルエンサー・マーケティング市場が大きく拡大した時代だった。SNS上で大きな影響力をもつ「インフルエンサー」に製品やサービスをPRしてもらい、口コミを通して購買など消費者の行動に影響を与えるマーケティングが、ファッション分野を中心に市場形成の繁栄を見た。

しかし、パンデミックの最中にはオシャレな服を着ていく機会もなければ、インスタ映えするリゾート地に行くこともできない。インスタグラムをちょっとでも覗けば、そのことによってインフルエンサーたちも自ら変わらざるを得ない状況が見て取れる。かつての「憧れの存在」から、リアルな友達のような感覚のインフルエンサーへと自己のブランディングをシフトさせている。

「コロナウィルスによってインフルエンサーバブルがようやく崩壊する時が来るかもしれない」というタイトルのVICEの記事では、ライフスタイルブログを運営しているインフルエンサーGrace Atwoodとインフルエンサー専門家のBrittany Hennessyのインタビューで以下のように語られている。

「『インフルエンサーとしての私たちの役割は、仮想的な友人のような存在でいること』とアトウッドは話している。

そして、本当に友人を大切に思っている人は、友人をCOVID-19に晒すことはない。最高のインフルエンサーは自宅に身を潜めて、フォロワーと目線を合わせることで、(貴重な感覚となってしまった)誰かと一緒にいるような感覚を与え、慰めてくれる。そして、現状は決して良いものではないが、このインフルエンサーコミュニティの集団的な後退には、最終的には穏やかな結果が得られている。Hennessyの言葉を借りれば、それは『彼らが普通の人に戻った』ことである」

不確実性要素に支配されてしまわないためにも、これからの時代に大事なのは、闇雲にブラックホールに向かってボールを投げ続けるような旧来のスタイルのマスマーケティングではなく、顧客を個人として捉え、「親密さ」に重点を置くことだと考える。

こうした変化を、逆風ではなく、逆に追い風のチャンスと捉えることができるのがインディペンデントな活動を行っているアーティストだろう。