コロナパンデミックで最も大きな影響を受けた「Z世代」の絶望と希望

最重要課題はメンタルヘルス
竹田 ダニエル プロフィール

「ベッドルームポップ」の時代に重要となる親近感と誠実さ

ニューヨーク州のホフストラ大学の学生を中心に運営されるニュースメディア「The Hofstra Chronicle」は、「"ベッドルームポップ"がゆっくりとポップミュージックシーンを乗っ取っていく」と題した記事において、Billie EilishやConan Grayの音楽を「ベッドルームポップ」というジャンルに定義し、その爆発的成長についてこのように述べている。

「音楽は、常に若者によって主導されてきた。

歌詞は、親近感が重要なテーマである。彼ら(ベッドルームポップのミュージシャンたち)は現在20代前半の経験を生きているからこそ、リスナーが何を聴きたいのかを敏感にキャッチしている。歌詞の内容は深く、社会的権威への抵抗、社会の『普通』に当てはまらない生き方やいわゆる負け犬文化、恋愛の片思いや現代社会への批判などのテーマに触れることが多い。これらは、現在の若者たちが自ら生み出した文化の変化を模倣しており、アクティビズムを復活させ、音楽を通してポジティブな政治的影響力のためのプラットフォームを作っている。彼らが作る曲一つ一つは、Tinderのようなデートアプリ、デジタル世界での親密さ、極めて高いメンタルヘルスへの意識、世界が崩壊していくことへの不安、より良い世界の理想像などが話題になっている現代において、大人へと成長していくことをどのように経験しているかについてのエッセイである。

この新しい変革による最大のメリットは、アーティストたちがお互いに横のつながりと仲間意識を持ち、お互いの良いところを 『鬼ごっこ』をするように取り入れる傾向があるということだ。この世代は、業界の典型的な陳腐でくだらない権力関係や政治性を捨てることを望んでおり、横のつながりを通して協力的な相互関係を生み出している。これは、リスナーの幅を深め、広げることで、これらのアーティストたちをメインストリーム級のレベルに定着させるのに役立つ」

 

アメリカでは、すでにZ世代やミレニアル世代が特に今回のコロナウィルスによって生活に大きな影響を受けていることが大きな社会問題として取り上げられている。そのように未来に絶望的な若者層がどのような消費行動をするのかというと、DIYに熱中し、オンラインでは無料コンテンツを楽しむことがごく自然と生活の一部になっている。彼らに向けてどのように音楽を今後プロモーションしていくかも大きな課題であり、開拓の余地のあるテーマでもある。

なぜなら、未来へと継承できる「持続可能な音楽カルチャー」を育むために大事なのは、作り手を持続可能にするだけではなく、後世のカルチャーをつくる人、そして消費して自分の一部とする人を絶やさないことも含まれるからだ。