コロナパンデミックで最も大きな影響を受けた「Z世代」の絶望と希望

最重要課題はメンタルヘルス
竹田 ダニエル プロフィール

デジタルネイティブな「Z世代」が持つ葛藤と社会意識

そもそも「Z世代」とは、1996年から2015年の間に生まれた世代のことを指す。そしてこの世代は、まさに「デジタルネイティブ世代」と呼ばれ、最先端のテクノロジーに精通していることに加え、「社会問題の課題解決の鍵を握るグローバル市民」という自己認識を持ち、「既存のルールには従わない」確固たる個性を大切にしていることも特徴だ。

この世代のアーティストが作る音楽は、「共感されないことへの孤独感」や「将来への不安」を曲のテーマにしていることが多い。彼らはSNSを通して常に大勢の他人とつながっていると同時に、「本当のつながり」が薄れていくことに葛藤も感じている。

その代表が、史上最年少でグラミー賞主要4部門を受賞し、「bad guy」が2019年に世界で最も売れたシングルになるなど昨年に大きくブレイクを果たし世界的人気アーティストとなったビリー・アイリッシュ(2001年生まれ、18歳)だろう。

また、アメリカのサンディエゴ出身で、アイルランド人の父親と日本人の母親を持つシンガーソングライターのコナン・グレイ(1998年生まれ、21歳)も大きな注目を集めている。

コナン・グレイ 〔PHOTO〕gettyimages
 

コナン・グレイは、今年3月にデビューアルバム『Kid Krow』をリリースしたニューカマー。「Z世代の気持ちを代弁するポッププリンス」とも呼ばれる彼は、アルバムリリース前に北米ツアーと欧州ツアーを全公演完売させるなど社会現象的な人気となっている。

その背景には「Z世代らしさ」が凝縮された曲の世界観や歌詞、そして日系の血を引くことで学校でいじめられた経験などを赤裸々に語るSNSでの自虐的な発言が、同世代のファンの共感と親近感を強く湧かせたことがある。BTSのV、クィア・アイコンのトロイ・シヴァン、Z世代の憧れであるThe 1975のマット・ヒーリーなども彼を絶賛しており、「大御所が応援したい若手代表」としても名高い。

彼のヒット曲"Generation Why"では、21世紀を生きる若者たちと、その世代にまつわるあらゆる誤解や固定観念、そして彼らが生きる「真実」を語っている。

(サビ)
'Cause we are the helpless, selfish, one of a kind
Millennium kids, that all wanna die
Walking in the street with no light inside our eyes
We are the worthless, cursed with too much time
We get into trouble and lose our minds
Something that I've heard a million times in my life
Generation Why

「僕たちは、無力で利己的で、自分が特別だと思い込んでいる
ミレニアム世代はみんな死にたがっている
道を歩くその目の中に光はない
僕たちは、時間を持て余した無価値な存在
問題を起こしては気が狂ったようになる
人生で何百万回も聞いたことがあるよ
Generation Why」

サビ部分では、大人たちが"Generation Why"(つまりZ世代)について「100万回も」かけてくる、「(彼らは)無力で、利己的で、自分が特別だと思い込んでいる」という言葉に飽き飽きしていることを嘆いている。同時に、彼は自分や、自分の世代に向けられた他者からの批判にも動じない強さも主張している。

(2番Aメロ)
Parents think we're fast asleep
But as soon as we're home we're sneaking out the window
'Cause at this rate of earth decay
Our world's ending at noon
Could we all just move to the moon?

「親は、僕たちがとっくに寝ていると思い込んでる
でも、家に帰ったらすぐに窓からこっそり抜け出してる
この地球の崩壊速度では
世界は正午に終わってしまう
みんなで月に移住できない?」

今住んでいる地球が崩壊しつつある中、それに対する怒りと悲しさに葛藤し、世の中すべての問題から離れてしまいたいというZ世代の葛藤、そして現実逃避への切実な願望を表現している。