Z世代の代表的存在であるビリー・アイリッシュ〔PHOTO〕gettyimages

コロナパンデミックで最も大きな影響を受けた「Z世代」の絶望と希望

最重要課題はメンタルヘルス

コロナウィルスのパンデミックによって最も大きな影響を受けたと言われている世代、それは「Z世代」(1996年から2015年の間に生まれた世代)である。未来への無限の可能性を秘めていた彼らに襲い掛かったのは、無責任な大人たちによる環境問題のツケ、そしていつまで続くかわからない外出自粛、つまり将来への不安と絶望だ。

しかし同時に、彼らを震源地として広がり続ける新たなテクノロジーやインターネットカルチャーは、社会全体、そして世界全体にも多大な影響を及ぼし続けている。この先の未来を握るZ世代の目まぐるしく変わり続けるマインド、そして彼らが取る行動を理解することで、ありとあらゆるビジネス領域においても、より着実な将来プランが描けるようになるだろう。

本記事では、史上最年少の18歳でグラミー賞主要4部門を受賞したビリー・アイリッシュなど「Z世代」を代表するミュージシャンが象徴するこの世代の価値観を考察し、世界中のミュージシャンが直面している問題について、英語圏のメディアの記事を引用しながら解説する。世界のジャーナリズムではどのように未来が捉えられているのかを踏まえながら、様々な未来予想図や可能性を探りたい。

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メンタルヘルスが「Z世代」の最重要課題

日本では言及されることがまだまだ少ない、「メンタルヘルス(精神面における健康)」の問題。近年、アメリカでは、この問題がZ世代に甚大な影響を及ぼしているとして、メディアや企業、教育等において大変重要なテーマとして取り扱われている。

アメリカ心理学会(American Psychological Association、アメリカ合衆国における心理学分野の職能団体として代表的な学会)は、15歳から21歳までのアメリカ人の悩みに焦点を当てた調査報告書「Z世代は、メンタルヘルスに関する問題を報告する可能性が高い」を2019年10月に発表した。同調査によると、Z世代は非常に大きなストレスを感じている世代であり、ストレス要因のトップには大量に発生し続けている銃乱射事件が挙げられている。

調査によると、Z世代は、ミレニアル世代(15%)やX世代世代(13%)を含む他の世代と比較して、自分の精神的健康状態を「まあまあ」または「悪い」と報告する割合が圧倒的に高い(27%)。また、メンタルヘルスの専門家から治療やセラピーを受けたことがあると報告する割合(37%)も、ミレニアル世代(35%)と並び、X世代の26%、団塊の世代の22%、高齢者の15%と比較して非常に高くなっている。

「現在起きている社会問題は、国内の誰もがストレスに感じるものであるが、若い人たちは、ニュースで報道される問題、特に自分の手に負えないと感じている問題の影響を強く実感しています」と、APAの最高経営責任者であるアーサー・C・エバンス・ジュニア博士は言う。

「同時に、Z世代の人たちがメンタルヘルスの状態がよくない、または非常に悪いと報告している割合が高いということは、彼らがメンタルヘルスの問題をより認識し、受け入れていることを示している可能性があります。彼らがメンタルヘルスの話題に対してオープンになることは、原因の如何に関わらず、ストレスの管理について議論を始める機会となります」