テラハ事件「極論ばかりのネット民」と「炎上で儲けるマスコミ」は反省を

情報社会の「新しいルール」をどう作るか
山口 真一 プロフィール

帝京大学の吉野ヒロ子氏の調査iiiによると、ネット炎上について、Twitter経由で知る人は20%程度だったのに対し、テレビのバラエティ番組から知る人は60%程度にのぼった。炎上はネット上の現象であるが、それを拡散しているのはマスメディア、とりわけテレビなのである。

ネットがない時代であれば、マスメディアで誰かを痛烈に批判したところで、それに乗っかる人々の批判の場は、せいぜい数人が集まる井戸端会議や居酒屋の席くらいだっただろう。もちろん数千、数万人が同時に同じ場所で攻撃することはなかったし、ましてや対象となっている人への直接攻撃はなかった。

しかしながら、ネット社会ではそのような「私刑」ともいえる大多数の直接攻撃が、当たり前のように出来てしまう。マスメディアは「ネットでの現象に自分達は責任がない」「ネットは悪」と決めつけている節がある。しかし彼らこそが、自身の影響力と向き合い、ネット時代における正しい報道や番組作りの在り方を考え、変化していくべきなのではないだろうか。

他人のせいばかりで自己批判・反省をしない人は成長しない。それはまた、組織にも当てはまる。

 

「実名にすれば解決」は勘違い

このような事件が起きると、必ず指摘されるのが「ネットの匿名性」の問題である。実名の人に匿名の人がローリスクで誹謗中傷を浴びせかけるのは卑怯だ、だから匿名性を廃止すべきだ、という議論である。

これとまったく同じ流れで、もう10年以上前に実名制の議論をし、導入した国がある。

IT先進国である韓国では、2000年代にネットでの誹謗中傷を苦に芸能人が自殺する事件が相次いだため、これを抑制する目的で、インターネット実名制が敷かれたことがある。

しかし、この施策の効果を検証した論文や、大韓民国放送通信委員会の発表によると、結果は驚くべきものだった。なんと、ネット実名制の施行でネット上の投稿総数は大幅に減った一方で、誹謗中傷的な投稿の割合はほとんど変わらなかったのだv

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