テラハ事件「極論ばかりのネット民」と「炎上で儲けるマスコミ」は反省を

情報社会の「新しいルール」をどう作るか
山口 真一 プロフィール

マスメディアの「ネット規制論」は正しいか

私はこのような問題についてマスメディアから意見を求められることがあるが、メディアの側には大抵、「匿名性は悪だ」「ネットを規制しろ」という流れにもっていきたい空気があることを強く感じる。実際、殆どのマスメディアが今回の事件でもそう報じている。

確かに、ネットの責任は重いだろう。急に問題が噴出したというよりは、今まであった問題が爆発したといえる。対策を早急に加速させ、適切なルールを作っていく必要があるのは間違いない。

しかし、マスメディアのこのような姿勢に対し、私は大きな疑問を抱かずにもいられないのである。それは、マスメディアが自身の役割・影響を軽視し、振り返って反省しているようにはとても見えない点だ。

「ネットでの酷い誹謗中傷の嵐」の裏側には、高確率でマスメディアの存在がある。今回の件では、『テラスハウス』という特定の番組が、多くの誹謗中傷が集まる原因を作り出したため、わかりやすかっただけだ。

Photo by iStock
 

最近「ネットでの誹謗中傷」が問題視された大きな事件に、「山梨県女性コロナ問題」がある。この事例では、新型コロナウイルスの陽性判定を受けた女性が、味覚・嗅覚異常の発覚後にも友人とバーベキューやゴルフをしたり、感染発覚後に高速バスに乗って移動したりしたということで、ネット上で多くの批判・誹謗中傷を受け、個人情報まで詮索されることとなった。

これに対し、少なからぬマスメディアが「ネットは『テロリスト』などと女性を強く非難するコメントで炎上」「誹謗する書き込みがインターネット上で相次いでいる」などと報じ、ネット上での誹謗中傷をやめるように訴えかけた。

しかし私は、当該女性の行動を事細かにテレビが取り上げ、痛烈で攻撃的な批判をしていたのを知っている。ネットでの誹謗中傷が、マスメディアの報道によって急速に加熱していったのは間違いない。「数字が取れるから」という理由で一般人にすぎない女性について繰り返し報じ、この件を知らなかった人にまで知らせ、「こいつは叩いていいやつ」という大多数のコンセンサスを作ってしまったのである。

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