テラハ事件「極論ばかりのネット民」と「炎上で儲けるマスコミ」は反省を

情報社会の「新しいルール」をどう作るか
山口 真一 プロフィール

ネットには「言いたい人」しかいない

「お前やばい」「早く消えろ」「ブス」「二度とテレビに出るな」

このような言葉を、あなたもネットで一度は見たことがあるだろう。これらは実際に被害者の木村花さんに対し、直接ネット上で投げかけられていた言葉だ。

私が以前実施した研究iでは、75%の人が「ネットには攻撃的な人が多い」と感じていることが分かっている。なるほど、こういった心ない言葉が並ぶ様子を見ていると、まさにネットは怖い空間のように思える。

しかし、よく考えるとこれは不思議な話である。なぜなら、現代社会ではネットを利用していない人はほとんどいない。「ネットユーザー≒社会にいる人」のはずで、ネットだけに怖い人が多いというのは実に奇妙だ。

その答えは、ネットがもつ根本的な特性にある。ネットというのは「発信したい人だけが発信する世界」だ。そして、強い思いを持っていたり、攻撃的な感情を持っていたりする人ほど、多くの発信をすることが社会心理学的にも実証されている。

Photo by iStock
 

実際に、私が過去に日韓米を対象に実証研究iiしたところによると、「憲法改正」や「外国人・移民が増えること」といった社会問題に対して、極端な意見(強く賛成・強く反対)を持っている人ほど、ネット上に大量に書き込んでいることが分かった(注・設問は調査のための便宜上のもので、私がこれらの是非について研究しているわけではない)。

この実験では、たった14%ほどの「強い意見を持っている人」が、全体の半分近くの書き込みを占めていたほどだ。さらに、「極端な意見の持ち主ほど多く書きこむ」というバイアス(偏り)は、その問題への関心が高ければ高いほど大きくなっていた。

今回のケースでいえば、もともと日本人は芸能ニュースに対して関心が高いうえに、『テラスハウス』という人気番組の話題だ。「極端で攻撃的な意見ばかり」が「大量に書き込まれる」条件が整っていたのである。

編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/