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テラハ事件「極論ばかりのネット民」と「炎上で儲けるマスコミ」は反省を

情報社会の「新しいルール」をどう作るか

何をすべきか、エビデンスベースの議論を

痛ましい事件が起きた。女子プロレスラーの木村花さん(享年22歳)が、人気テレビ番組に端を発するネット上の誹謗中傷・非難に耐え切れず、亡くなったことだ。

本件について調べていたら、理由が良くわからぬまま自然と涙が出てきていたのを覚えている。

被害者の、あまりにも優しく悲しい発信から見えてくる悲痛な気持ちや、個人をどこまでも追い詰める人々の悪意に悲しくなったのだろうか。歳を重ねて涙もろくなってきたこともあるかもしれない。

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とにもかくにも、この事件は、実に多くの人に衝撃と悲しみを与えた。実際、それを受けた政府の動きはまたとないほど迅速だ。

高市早苗総務相は早速、「匿名で他人を誹謗中傷する行為は人として卑怯で許し難い」「制度改正を含めた対応を、スピード感を持って行う」と述べた。また、業界団体やYahoo! Japanなどのプラットフォーム企業も次々と声明を発表している。

しかしこのような時だからこそ、冷静にならなければならない。ネット上の言論について、どのような制度設計(ルールメイキング)が妥当か。表現の自由と規制のバランスをどう考えればよいか。どのステークホルダーがどのような対策を立てるのが良いか……これらの課題について感情を挟まず、エビデンスベースで考えなければならない。

 

本稿では、このような事件をついに引き起こしてしまったネットとSNSの現状、マスメディアの情報発信がもつ危険性、政府による規制・介入の影響、そして今後我々がとるべき対策について、ネット・SNSを専門とする研究者として「事実」をベースに語ろうと思う。