ルフトハンザ・ドイツ航空は、言うまでもなくドイツを代表する航空会社で、13.8万人の雇用がかかっている。しかし、コロナ禍で乗客数は99%も減ってしまい、使わない飛行機が滑走路にズラッと並んでいる状態だ。
CEOの言によれば、その損失は目下のところ1時間につき100万ユーロ。このままでは破産は時間の問題だとか。
そこでドイツ政府とルフトハンザとのあいだで先月より協議が行われた結果、5月25日、政府が90億ユーロを使って救済することで話がまとまった。救済案の内容は、融資が30億ユーロ、出資が60億ユーロ。その代わり、ルフトハンザは役員のボーナスと株主への配当を控える・・・など。
一般のニュースではここら辺までしか報道されなかったので、“自国のキャリアを救うドイツ政府”という力強い印象だったが、少し調べると、政府がルフトハンザに課している条件はかなり厳しい。
60億ユーロの出資のうちの3億ユーロが政府の出資で、ルフトハンザ株の20%が政府の手に渡る。ルフトハンザの株価はガタ落ちなので、1株2.56ユーロと格安値段。これにより政府は、ルフトハンザの監査役員会(20人)に2名の席を確保するが、外国の資本に買収される危険が生じない限り、経営には口を挟まないと言っている。ただし、もし、買収されそうになったら、さらに5%積み増して阻止する。
出資の残り57億ユーロは、議決権に制限のある株式という形で、資金は政府がコロナ対策のために作った経営安定基金から提供される。実際には融資なので返済しなければならないが、ルフトハンザの場合、いろいろな事情により、決算上は自己資本の扱いになるように取り計らわれるという。
ただ、利子は高く、最初の2年は年利4%、そのあとは9.5%まで上がる可能性がある。貸す方は破格に儲かる話だが、困っているルフトハンザを相手に、なんだかサラ金商法のようにも見える。
いずれにしても、この救済策が軌道に乗るためには、まず株主総会に諮り、最終的にはEUの欧州委員会の承認も取り付けなくてはならない。