30年作家を続けてきて、サイン会や講演会などでたくさんの子どもたちと触れ合ってきたはやみねさんは、昔の子と今の子たちとの違いを感じることもあるという。
<塾通いやSNSやゲームなど、子どもたちのやることが多くなって、本を読む時間が減り、読解力が低下しているように思います。昔だったら詳しく描写しなくてもよかったところを、丁寧に書くようにしないと、今の子どもたちには意味が伝わりません。
その一方で、今の子どもたちはテクノロジーの進化に順応する力が高い。氾濫する情報のなかから、自分が必要とするものをきちんと選びとっていくのかもしれませんね。>
新型コロナウイルスの影響で、今年の夏は旅行やプール、お祭りに行けなかったり、夏休みも短縮になったりして、ストレスを抱える子どもたちも多いだろう。これからの時代を幸せに生きるためのアドバイスを、はやみねさんに教えてもらった。
<コロナのマイナス面だけじゃなく、自分なりの楽しみを見つけてほしいです。ちょっと見方を変えたり、頭を使ったりすれば、どんな状況でも楽しめると思います。
本を読むと、今生きている現実世界以外にも、もっと違う世界があるということがわかる。いろいろな物語に触れることで、世の中には違う意見、考え方があることも知ることができます。
時間に少し余裕ができたら、ぜひ本を手にとってみて下さい。きっと人生が楽しくなりますよ!>
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「読書は楽しいし、書くことも楽しい。みんながワクワクするカーニヴァルのような物語世界を、これからも築いていきたい」と語るはやみねさん。
作品の面白さはもちろんだが、少年のような心と、大人の優しさに溢れたはやみねさんの人柄に、子どもも、大人も魅了され続けるのだろう。(了)
はやみねかおる
1964年、三重県に生まれる。三重大学教育学部を卒業後、小学校の教師となり、クラスの本ぎらいの子どもたちを夢中にさせる本をさがすうちに、みずから書きはじめる。「怪盗道化師(ピエロ)」で第30回講談社児童文学新人賞に入選。〈名探偵夢水清志郎事件ノート〉〈怪盗クイーン〉〈YA! ENTERTAINMENT「都会のトム&ソーヤ」〉〈少年名探偵虹北恭助の冒険〉などのシリーズのほか、『バイバイ スクール』『ぼくと未来屋の夏』『帰天城の謎 TRICK 青春版』(以上、すべて講談社)などの作品がある。