多発する「自粛警察」の全貌…背景に「正義の暴走」と「嫉妬の発露」

「非常時だから」で終わらせてはならない
辻田 真佐憲 プロフィール

なお、「虚偽申告」したとされる女性については、「自業自得」との声もあるようだが、仮に報道のとおりだとしても、実名や住所の特定し、誹謗中傷していいことにはならない。

それどころか、こういう私的制裁は犯罪になりうるだけではなく、「正直に告白せず、最後まで嘘を貫き通したほうがいいのだな」との考えを広めかねず、防疫の上でも有害である。ネットで暴れまわっている人は、もう少し冷静になったほうがよい。

〔PHOTO〕iStock
 

「皆殺しに」と「いちゃついている」の共通点

事例としては以上で十分だが、あと3件はどうしても取り上げておきたい。

東京の靖国神社では、境内の公衆トイレに武漢市の人々を「皆殺しにする」との落書きが行われた(5月5日、朝日新聞)。

札幌市では、配達員の男性が客から何度か「ウイルスを家に持ち込まないで」と言われ、「ちゃんと消毒しているのか」と除菌スプレーのようなものを吹きかけられることもあった(5月18日、北海道新聞)。

これらは「自粛警察」以前に、たんなる差別事件といわざるをえない。