ハンコは廃止して「ブロックチェーン」を活用せよ!電子署名ですら20年古い

日本の業務処理は衰退の元凶だ
野口 悠紀雄 プロフィール

電子署名は20年前から認められている

日本で電子署名は認められていないのかというと、そんなことはない。「電子署名及び認証業務に関する法律」(「電子署名法」)が、すでに2001年4月1日に施行され、電子署名が手書きの署名や押印と同等に通用する法的基盤が整備されている。

これにより、本人による一定の要件を満たす電子署名が行われた電子文書は、真正に成立したもの(本人の意思に基づき作成されたもの)と推定される。

電子署名は公開鍵暗号技術の応用の1つだ。個人Aは、ペアになった公開鍵と秘密鍵を持つ。公開鍵は、公開し、誰でも使える。Bが、A名義の暗号メッセージをAの公開鍵で解読できれば、それはAの秘密鍵で暗号化されたものであることが分る。Aの秘密鍵はAだけが保管しているので、Aが送ったメッセージだと確認できる。なお、電子署名は、仮想通貨においても、基礎的な技術として用いられている。

残された問題は、「Aの公開鍵」とされているものの所有者が、本当にAかどうかの証明だ。

このため、Aが自分の公開鍵を信頼できる機関に預け、その機関がAの公開鍵に間違いないという証明(電子認証)を与える。これは、「電子の印鑑登録証明書」とも言えるものだ。これを発行する「信頼できる機関」を「認証機関(認証局)」という。

ただし、この仕組みは使いにくい。

電子証明には有効期限がある(電子署名だけを付与した場合には、有効期間は通常1~3年間だ)。

契約が数年間にまたがっている場合、途中で有効期限が過ぎると効力を失う。有効期限を延ばすには、再度認証局に煩雑な申請作業を行ない、更新する手続きが必要となる。

 

また、日本の電子署名は、外国では有効なものとならない。

つまり、日本がハンコ文化から脱却できないのは、文化だけの問題ではない。デジタル署名の仕組みに問題があるため、なかなか変革できないのだ。