コロナ封じ込め成功?「日本モデル」とは何だったのか、その意義と成果

これからのコロナ対策に向けて
篠田 英朗 プロフィール

世界は欧米と日本だけではない

日本の「専門家」の多くが、日本の感染者数や死者数が「欧米より少ない」ことをひどく気にしている。そのためある者は、実は隠された死者が沢山いるのではないか、といった陰謀論を吹聴する。また別の者は、日本人に特有の遺伝子構造があるのではないか、といった観点から研究を進めているという。

だが国際政治学者の私が素朴に感じる問いは、「専門家の皆さん、世界にどれくらいの数の国があるか知っていますか?」である。

日本の「専門家」たちの視野には、ほとんど「欧米」と日本しかない。時折、「アジアの他の国は」と言われて、ぎょっとしたりする程度だろう。

医科学分野の最先端の研究をするのであれば、そういう世界観が常識になってしまうのは仕方がないのかもしれないが、新型コロナは全世界に広がっているという端的な事実を、まずは認めてほしい。

日本の取り組みの成績が、世界的に見てどの程度のところに位置づけられるのかを見るためには、「Worldometer」というサイトを見たりするのが一番便利だろう。213の国・地域における日本の位置づけが一目でわかる。

まずすぐにわかるのが、感染者数・死者数・致死率のいずれをとっても、欧米諸国が圧倒的に上位を占めている、ということだ。

たとえば人口100万あたりの死者数を上位から見ていくと、つぎのようになる。

サンマリノ、ベルギー、アンドラ、スペイン、イタリア、イギリス、フランス、スウェーデン、オランダ領セント・マーチン島、オランダ、アイルランド、アメリカ合衆国、マン島、チャネル諸島、スイス、英領モントセラト、といった具合に、17位でエクアドルが出てくるまでの上位16位を欧州(とその海外領土)と合衆国で占めている。驚くべき地域的な偏差である。

 

ちなみに日本は累積感染者数で40位、死者数で28位、人口100万あたりで見ると、累積感染者数で142位、死者数で94位と、中位の順位だ。

もちろん一歩間違えれば甚大な被害が出る新型コロナの話だ。私はこの成績でも、日本は十分に堅実な成果を出している、と評価できると思っている。ただ、別段、世界の中で際立って華々しく成績がいい、とまで言えるほどではないだろう。