日本がコロナ禍で、結局「医療崩壊」してしまった理由

そして、いまからでもできる緊急対策
伊藤 周平 プロフィール

感染者数の増大に比して死亡者数が少ないとされてきた日本であるが(ただし、新型コロナに感染して亡くなったにもかかわらず、検査がなされなかったため、肺炎などで死亡とされた人も多数いると推測され、発表されている死者数は実際より少ないと考えられる)、ここにきて、院内感染や特別養護老人ホームなど高齢者が入所する介護施設での集団感染が多発し、死亡者数が増加しはじめている。

厚生労働省は、死者の詳細な分析結果を発表していないが、共同通信の調査では、介護施設で、新型コロナに感染した入所者、職員は少なくとも計700人おり、このうち入所者79人が亡くなっていたことが明らかになっている(5月8日現在)。病床の不足で、感染者を入院させずに施設内で隔離しケアしている老人保健施設もあり、職員は少ない人手で、マスクや防護服も不足する中、極度の緊張を強いられている。

厚生労働省は、感染対策や人員確保に必要な予算措置をしておらず、このままでは、介護施設での集団感染とそれによる死者が増大する可能性が高い。

病床の不足とともに、医療機関の経営も苦しくなっている。外出自粛の影響で(もしくは、病院内での感染をおそれ)、外来患者を中心に深刻な受診抑制が生じ、医療機関が経営困難に陥り、閉院や休業、従業員の解雇を検討する医療機関が増大している。また、診療所など医療機関、とくに診療所でのマスクや消毒薬の不足も深刻である。

 

医療崩壊に歯止めをかけるために

現在、現場の医療従事者の懸命の努力で、何とか医療崩壊に歯止めがかかっているが、それにも限界がある。緊急に、次のような対策と予算措置が必要である。

まず、何といっても、検査体制の充実が急務である。保健所を介さず、医師が必要と判断した患者はすべて検査が受けられる体制の整備、具体的には、東京都など一部の自治体がはじめているPCR検査センターを全国の自治体に設置し、必要な予算を国が確保すべきである。簡易キットによる検査の導入も進め、少なくとも、医療機関の医療従事者、入院・外来患者、介護施設・事業所の介護従事者、利用者には、症状のあるなしにかかわらず検査を実施すべきであろう。

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