日本がコロナ禍で、結局「医療崩壊」してしまった理由

そして、いまからでもできる緊急対策
伊藤 周平 プロフィール

早急に、簡易検査の導入なども含めて医療機関から直接検査を発注できる体制づくりが必要なのだが、安倍政権の対応は後手にまわり、検査体制の拡充、迅速化は図られていない。

東京都などでは、地域医師会や自治体が、大学病院の応援も得ながらPCR検査センターをつくり、保健所を介さないで検査できる体制づくりをはじめているが、国が必要な予算をつけていないため(病院が持ち出しで行っている)、遅々として進んでいない。

 

救急医療が機能不全に

検査体制の不備が引き起こした医療崩壊は、まず救急医療からはじまった。院内感染の危険があるため、感染の可能性のある発熱や呼吸器症状を訴える患者を受け入れる病院が少なくなった結果、肺炎疑いの患者などはほとんどの場合、救急医療センターで受け入れざるをえない事態が生じたからだ。

そのため、本来の重症緊急患者の受け入れができなくなり、とくに心筋梗塞、脳卒中など緊急を要する疾患で治療のタイミングを逸する命に係わる深刻な状況が生じている

さらに、心不全や別の病気で入院したり、搬送されたりしてきた患者の中に感染者がみつかる事例が続出、医師や看護師の感染と患者の院内感染が相次ぎ、医療崩壊が現実化した(医療従事者の感染が判明すれば自宅待機となり、その部署の医療機能はストップする)。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

遅れた病床確保と医療機関の経営危機

前編で述べたように、医療費抑制策のもと病床削減が進められ、とくに感染症病床は極端に少ない現状で、新型コロナの感染者の増大で、病床はすぐに満床となり、重症者の治療ができなくなる状態に陥った。埼玉県では入院できる病床や収容施設が不足し、自宅待機の感染者2人が、容体が急変し自宅で死亡する事態まで生じた。

病床が足りないため必要な治療が受けられず死亡するという状況は、医療崩壊そのものである。厚生労働省の調査では、新型コロナの感染者のうち自宅療養者は全体の8割、1984人にもぼる(4月28日時点)。

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