日本政府はなぜ、どれだけ「病院」と「病床」を減らしてきたのか

そして、これからも減らすつもりです
伊藤 周平 プロフィール

名指しされた病院の7割は地方の中小病院だが、医師偏在や看護師不足など診療体制の不備から診療実績が少ないことが考慮されていないなど、機械的、恣意的な基準設定といえる。また、2017年のデータのみに依拠していたため、公表された病院の中には廃止されて存在しない病院も複数含まれており、公表リストの杜撰さも明らかになっている。

各病院が地域医療を支えてきた経緯や感染症対策など特別な医療提供で果たしてきた役割を無視した唐突な公表に、病院のみならず自治体も猛反発、全国知事会など地方3団体は「地域住民の不信を招いている」とする意見書を提出した。こうした批判に対して、厚生労働省は、2020年1月に、再検証結果を発表。7病院は対象でなくなるとしたが、新たに約20病院を追加している(地域医療への影響などを考慮し、病院名は公表せず)。

再編・統合の検討対象となっている公立・公的病院リストのうち53病院は、厚生労働省が2019年にまとめた感染症医療機関に含まれており、この多くが、新型コロナの感染症の対応に当たっているとみられる。しかし、厚生労働省は、対象病院の統廃合の議論を進める方針は変更しておらず、今後は民間病院も対象として公表することが検討されている。

 

保健所機能の低下と公衆衛生の軽視

感染症対策を担う保健所も数、そこで働く保健師もともに削減されてきた

そもそも保健所は、憲法25条2項に規定された「公衆衛生の向上及び増進」を担う公的機関として設置された。現行法では、都道府県、政令指定都市、中核市、東京都の特別区などが設置する。公衆衛生は公的責任で担うという趣旨のもと、国が補助を行ってきたが、その公費負担を削減する目的で、保健所の削減が行われてきたのである。

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