日本政府はなぜ、どれだけ「病院」と「病床」を減らしてきたのか

そして、これからも減らすつもりです
伊藤 周平 プロフィール

そもそも、国は医療費抑制のために、医師数を抑えてきた。日本の医師数は、人口1000人当たりでみると2.43人で、OECD(経済開発協力機構)加盟国のうちデータのある29か国中の26位にとどまる(2017年.OECD Health Statics 2019)。

医師の総数でみても、同加盟国の平均約44万人に対し約32万人で12万人と、絶対的不足が顕著である。人手不足は長時間労働を招く。厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、過労死ラインの月平均80時間を超える時間外労働(休日労働を含む)で働いている勤務医が約8万人にのぼることが指摘されている。

同時に、国は、検査設備や人工呼吸器のような機材の確保、それを使いこなせる検査技師、専門医の育成も怠ってきた。検査役、ワクチン開発支援などで重要な役割を果たしてきた国立感染症研究所は、研究者数も予算額もともに減らされ続けてきた。

〔PHOTO〕iStock
 

公的・公立病院が狙われた

病院・病床削減のターゲットにされたのは、公立・公的病院である。国(厚生労働省)は、前述の地域医療構想の調整会議の場で、公立病院には「公立病院改革プラン」、公的病院には「公的医療機関等2025プラン」の策定を義務付け、率先して病床削減への対応を求めてきた。もっとも、調整会議で「合意済み」とされた公立・公的病院の2025年の病床計画では、ほぼ現状維持の計画となった。

病床削減が進まないことに業を煮やした厚生労働省は、2019年9月、公立・公的病院のうち地域医療構想において再編・統合の必要があるとする424の病院(公立257、公的167)の名称を公表し、病院の統合や診療科の縮小、入院ベッドの削減など、地域医療構想の具体的方針を1年以内に見直すよう求めた。

2017年度時点で、1652の公立・公的病院のうち、人口100万人以上の地域に存在する病院などを除き、病床機能報告で高度急性期・急性期と報告した1455の公立・公的病院を対象に、手術件数などの「診療実績が少ない」と「類似かつ近接」という2つの基準に該当するとされたのがリストアップされた424病院である。

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