日本政府はなぜ、どれだけ「病院」と「病床」を減らしてきたのか

そして、これからも減らすつもりです
伊藤 周平 プロフィール

地域医療構想のねらいは、医療費を削減することにある。看護師配置の手厚い(つまり診療報酬が高く「コスト」がかかる)「高度急性期」の病床を他の病床機能(急性期や回復期など)に転換させる、もしくは過剰と判断された病床開設は認めないなどして計画的に削減し、入院患者を病院から在宅医療へ、さらに介護保険施設へと誘導することで、その目標を達成しようとしている。

削減のターゲットは、看護師配置が手厚い「急性期一般入院料1」に算定される病床(旧7対1の入院基本料算定病床)で、診療報酬による誘導政策などで、現在約36万床ある病床を、2025年までに18万床に半減させる方針といわれる。

2018年までにすべての構想区域で、地域医療構想が出そろったが、地域医療構想の完遂による「必要病床数」を実現した場合、全国で15万6000床もの病床削減が必要となり(2013年時点との比較)、地域に必要な医療機関や診療科の縮小・廃止がおきかねない。

国は、地域医療構想の実現は、各構想区域に設置された「調整会議」で、都道府県と地域の医療機関の協力のもとで進めていくことが原則と説明しているが、法改正により都道府県知事の権限が強化されており、上からの機能分化が進められる懸念は払拭できていない。機械的な病床削減を実施していけば、必要な医療を受けることができない患者が続出することになり、地域医療は崩壊する。

 

医師数も看護師数も抑制される

地域医療構想で算出された「必要病床数」は、医師や看護師の需給推計にも連動しており、急性期病床の削減で、とくに病院看護師の需要数は現状より大幅に少ない人員で足りるとの推計となっている。医師についても、地域医療構想と働き方改革を名目に、病院を再編し、医療体制を集約化して医師数は増やさない方針で、このままでは、医師の偏在と医師・看護師の負担増による現場の疲弊が進むことは避けられない。

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