日本政府はなぜ、どれだけ「病院」と「病床」を減らしてきたのか

そして、これからも減らすつもりです
伊藤 周平 プロフィール

感染症病床以外の病床も削減が続き、1993年から2018年までの四半世紀で30万5000床が削減された。

重症患者のための集中治療室(ICU)も、2013年には全国で2889床あったが、2019年には2445床に削減されている(そのうち、公立病院が419床を占める)。

2020年4月に出された日本集中治療学会の理事長声明は、新型コロナによる死亡率がドイツ1.1%、イタリア11.7%と大きな開きがある点に触れ、集中治療室の人口10万人あたりの病床数がドイツは29~30床に対して、イタリアは12床程度と差があることを指摘、病床数がイタリアの半分以下の日本(5床程度)では、深刻な状況になりかねないと、日本における集中治療体制の脆弱さに警鐘を鳴らしていた。

〔PHOTO〕iStock
 

「地域医療構想」でさらに病床が削減される

安倍政権になって、社会保障改革と称して、医療費抑制策と病床削減はさらに加速した。

2014年には、病気になり始めた患者を主に診る「急性期病床」を削減し、安上がりの医療・介護提供体制を構築することを目的とした「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」が成立、医療法が改正された。

2014年10月からはこの法律に基づいて「病床機能報告制度」という制度が創設され、それを受けて、都道府県が地域医療構想を策定する仕組みが導入された。病床機能報告制度は、各病院・有床診療所が持っている病床の医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を、都道府県知事に報告する仕組みで、各医療機関は「現状」報告と「今後の方向」の選択(たとえば、今は回復期の患者のための「回復期病床」だが、今後は急性期病床とするなど)、構造設備・人員配置に関する項目などを報告する。

この報告を受けて、都道府県は、構想区域(各都道府県内の2次医療圏を原則とし、現在339区域ある)において病床の機能区分ごとの将来の必要量等に基づく「必要病床数」を算出した「地域医療構想」を策定する。

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