コロナ禍でつくづく思った…日本はもっと医者の数を増やしませんか

戦いは「これで終わり」ではないから
週刊現代 プロフィール

「勤務医の40%に相当する8万人が、過労死ラインの月平均80時間を超える時間外労働を強いられています。年間勤務日数も35%が300日以上で、1ヵ月あたり5日の休みを取るのがやっと。医師が過労死するケースも後を絶ちません」

'24年に始まる医師の働き方改革では、医師の勤務時間を大幅に短縮すると、現在の医療を維持できなくなるため、地域医療を支える勤務医に年1860時間までの残業を許容するという極めて緩い基準を認めることになっている。

情熱だけでは乗り切れない

現場の医者たちは、いま自らも新型コロナ感染の恐怖と闘いながら命がけで治療に当たっている。しかし、個々の医者の情熱だけで何とかなる段階はとっくに過ぎた。うつ病を発症する医者や燃え尽き症候群になってしまう医者が増加しているのが、何よりの証拠だ。

「日本の医療は、現場が頑張ってなんとかしてしまうので、政府はそれに頼ってリソース(資源)を注ぎ込まないのです。しかし、現場が疲弊してしまえば、システム全体の底が抜けてしまうことにもなりかねません」(経済産業研究所上席研究員・藤和彦氏)

 

いつ終わるともしれない混乱のなか、一つでも対応を誤れば、患者を死なせてしまうという重圧は、医者以外にはわからないだろう。
 冒頭の眼科医はこう嘆く。

「現場では急に退職してしまう先生がたも出始めています。今後、仕事量が増える可能性もあり、どうなるのか先行きが見えない状況です。正直かなり辛いです」

すでに指摘されているように、イタリアはEUから財政規律の緩さを指摘され、国家の医療費を大幅に削減する中で、新型コロナの餌食になった。病院は統廃合を繰り返し、病床数は減少、若い医者たちは国を捨てて、より稼げる他国に転出した。残った医者は高齢者が多く、彼らもまた多くが感染してしまった。

ウイルスとの闘いは今回が最後ではない。たとえ、今回の新型コロナを乗り切っても、必ずまた姿を変えて襲ってくる。

あのとき、医者の数を増やしていれば……、そう後悔しないためにも、医者の数は増やしたほうがいい。それこそが、今回の新型コロナから医者や我々が学んだ教訓の一つだろう。

『週刊現代』2020年5月2・9日号より