コロナ禍でつくづく思った…日本はもっと医者の数を増やしませんか

戦いは「これで終わり」ではないから
週刊現代 プロフィール

日本医師会の抵抗

日本で医療行為を許された唯一の職業が医師である。医療の中心を担う重要な存在であることは疑いの余地がないが、その養成・維持は高コストであり、需給バランスが崩れれば、社会にとって大きな損失になる。それを盾に、政府は大学医学部の定員数を厳格にコントロールしてきた。

政府の決定に最も大きな影響を与えてきたのが、日本最大のロビー団体とも言われる「日本医師会」である。

「医師会は医者を増やすことに消極的な姿勢を取り続けてきました。というのも医師会に所属する医者の大半は開業医です。開業医にとって、病院を子供に継がせるときにライバルとなる医者は少ないほうがいい。

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医師会は政治資金も豊富にどんどん出します。政治家も官僚も医師会には逆らえない環境があるのです」(医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏)

医者が医者の数を増やしたくない理由は、弁護士を例にあげればわかりやすい。

アメリカ型の訴訟社会の到来や裁判員制度の成立を前に、'02年、法曹3000人計画が閣議決定された。その結果、法科大学院などが相次いで作られ、弁護士の数は急増した。これまで特別な存在だった弁護士という職業は、あっという間に食うに困る仕事になってしまった。

 

医者の数を増やせば、弁護士と同じようになるかもしれない。その恐怖が医師数の増加を阻んできたとも言える。

地域医療崩壊が注目されるようになり、さすがの日本医師会も「絶対数の不足」を認めざるを得なくなり、'08年以来、医師養成数を増加する流れは決定的になったかと思われた。

ところが、'18年春、厚労省担当者と医療・医学部関係者らが参加する医師需給分科会で、'22年度以降については、「医学部定員は減らす方向」で提案が出されたのだ。参加した医学部関係者らもおおむねこの案を支持したという。人口減少によって医師数が過剰になるから、というのがその根拠だった。

いまはコロナ禍による緊急事態だ。では平時なら医者の数は足りているのかと言えばそうではない。『本当の医療崩壊はこれからやってくる!』の著者で医療制度研究会副理事長の本田宏氏が語る。