コロナ後、日本はどうなるか? 地方分散型への転換と「生命」の時代

中心コンセプトはすでにAIが示していた
広井 良典 プロフィール

思えば、17世紀の科学革命以降、人間の科学的探究の対象は、物体の運動法則や天体の運行といった比較的“単純”なものから、熱や電磁気などの諸現象、そして生命、さらに人間そのものへと、つまりこの「世界」に存在する諸事物のうち、より複雑で根源的な現象へと展開してきており、その過程の中で「エネルギー」や「情報」といったコンセプトを作り出してきた。そうした探求の果てに行き着こうとしているのが、なお未解明な領域を多く残す「生命」なのである。

こうして私たちは、ひと回り大きな視点から「生命」というテーマを考えていく時代の入り口に立っている。先ほども記した点だが、英語の「ライフ」が「生活、人生」という意味を含むように、そこでは社会的な次元も含めた幅広い視点や対応が求められると同時に、「生命」は生態系や地球上の生物多様性といったマクロの内容を含んでいる。

いま「社会的な次元」と記したことに関して、ここではスペースの都合上言及できなかったが、新型コロナウイルスの感染拡大には、いわゆる格差や貧困といった社会的要因や都市環境の劣化が深く関わっており、しかも「グローバル化」の急速な進展という背景とも密接な関係にある。

本稿の前半で述べた「分散型システム」というテーマを含め、今回のパンデミックは、そうした広い視野と長い時間軸において把握されるべき事象なのである(そうした全体的な展望をまとめたのが(図)である)。

新型コロナをめぐる展開を契機に考えていくべきは、本稿で述べてきたような、私たちが生きるこれからの時代の大きな展望なのだ。