コロナ後、日本はどうなるか? 地方分散型への転換と「生命」の時代

中心コンセプトはすでにAIが示していた
広井 良典 プロフィール

「分散型システム」の意味

これからの時代において感染爆発の繰り返しを避けるためにも「地方分散型システム」への転換が鍵となることを述べたが、ここで「分散型」というとき、それは以上のような国土の空間的構造に関する点のみならず、実はもっと広い意味を含んでいる。すなわちそれは、

(1)働き方あるいは職場-家庭の関係性における「分散型システム」……リモート・ワークないしテレワーク等を通じて、自宅などで従来よりも自由で弾力的な働き方ができ、また余暇のプランも立てやすく、仕事と家庭、子育てなどが両立しやすい社会のあり方、

(2)住む場所あるいは都市-地方の関係性における「分散型システム」……ローカルな場所にいても様々な形で大都市圏とのコミュニケーションや協働、連携が行いやすく、オフィスや仕事場などの地域的配置も「分散的」であるような社会の姿

を指している。

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以上に関連して、今回の新型コロナを契機に、自宅での仕事やオンラインの会議等が広く浸透し、その結果、高額の家賃を払って都心にオフィスや会議室を持つことの必要性があまり感じられなくなり、オフィスの縮小や郊外移転等を検討する企業が増えているといった点はすでに様々な形で論じられている。

また同様の背景から、地方への移住やオフィス移転を考えたり実行に移したりする個人や企業が増加していくことも予想されている。

この場合、こうした「分散型」の働き方やライフスタイルへの移行において最終的にもっとも重要なのは、それが個人の「幸福」にとってプラスの意味をもちうるという点だろう。

 

先ほど述べた日本社会の未来に関するAIシミュレーションでは、様々な未来シナリオの評価軸の中に「幸福」という項目を入れていたのだが、「都市集中型」よりも「地方分散型」のほうが、幸福度という観点からもパフォーマンスが高いという結果が示されていた。

もちろんこうしたAIシミュレーションはまだ試行錯誤の段階であり、距離を置いて見るべきものだが、いずれにしても、ここでいう「分散型システム」とは、空間的ないし外面的な意味にとどまらず、人々の価値観や「こころ」に関わる内容と言えるだろう。

つまり、「分散型システム」への移行とは、人口や経済が拡大を続け、“東京に向かってすべてが流れる”とともに、いわば“集団で一本の道を上る時代”であった(昭和・平成的な)時代の価値観や社会構造からの根本的な転換を意味している。

この場合、そうした転換は、2008年をピークに人口も減少に転じ、「成熟社会のデザイン」ということが基本的な課題となっている日本において、本来であれば新型コロナとは独立して実現していくべきはずのものだった(再び以前の本欄での拙稿「『経済成長』幻想が日本を滅ぼす! 人口減少社会を『希望』に変えていく確かな方法」参照)。