コロナ後、日本はどうなるか? 地方分散型への転換と「生命」の時代

中心コンセプトはすでにAIが示していた
広井 良典 プロフィール

ところで、AIを活用したシミュレーションについて、昨年から私たちの研究グループは兵庫県における長期ビジョンの検討において同県と共同研究を行い、「AIを活用した未来予測――2050年の兵庫の研究」という分析結果をまとめて今年2月に公表した(兵庫県将来構想研究会ホームページ参照)。

そして興味深いことに、モデルの作成手法は先述の日本全体のものと異なっていたが、兵庫県の未来に関するAIシミュレーションにおいても、やはり都市集中型か分散型かという点がもっとも本質的な分岐であり、かつ分散型のほうが全般的なパフォーマンスが良好であるという結果が示されたのである。ここでの都市集中型とは、たとえば神戸市に人口が集中するようなイメージである。

先ほどの日本全体に関する分析でも、また兵庫県という都道府県レベルの分析でも、いずれも「地方分散型」が望ましいというAIのシミュレーション結果が出ていたというのは、今回の新型コロナとの関連で考えてみても非常に示唆的と思われる。かくいう私自身、そうした結果が出るとは予想していなかった。

ちなみに兵庫県についてのAI分析は昨年から今年初めにかけて行い、結果を公表したのが2月18日だったのだが、その後に新型コロナが一気に拡大していったのは皮肉な偶然と言うべきかもしれない。

ここで日本の状況についてさらに考えると、しばしば誤解されている点だが、実は日本において現在進みつつあるのは‟東京一極集中”ではない。

すなわち札幌、仙台、広島、福岡等の人口増加率は首都圏並みに大きく(特に福岡)、また興味深いことに、今年3月に発表された令和2年地価公示では上記4都市の地下上昇率(平均で7.4%)は東京圏のそれ(2.3%)を大きく上回っている。

つまり現在の日本において進みつつあるのはいわば「少極集中」と呼ぶべき事態であり、これは感染症の伝播という点ではリスクの大きい構造であって、現にこれらの‟密”地域において感染が拡大した。

 

こうした構造を、より「分散型」のシステムに転換していくこと、具体的にはドイツのような「多極集中」と呼べる国土構造に転換していくことが課題であり、それはコロナのようなパンデミックへの対応においてもきわめて重要な意味をもつだろう。

「多極集中」とは、中小都市や町村を含めて多くの「極」となる都市・地域が国土の中に広く分布しており、かつそうした極となる場所はある程度集約的で中心部が賑わっているような姿を指しており、その具体的なイメージについては以前の本欄に載せた拙論(「ムラとマチを捨ててきた日本の未来はやっぱり『地方分散』にあり」)を参照されたい。