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木村花さんを守ることはできなかったのか?「働き方」視点で考える

「才能で食べる人」を傷つけないために
常見 陽平 プロフィール

誹謗中傷か批判か「こいつは叩いてもいい人問題」

SNSでの誹謗中傷を受けていた件が大きな論点となっている。これに合わせて、規制を強化する動きが見られる。すでに高市早苗総務相が言及したし、与野党が議論を始めた。

たしかに、日本のプラットフォームは規制についてまだ弱いと言われている。最近は様々な管理が強化されるようになったが、Twitter上にも、ヤフコメ上にも誹謗中傷コメントが並んでいる。いわゆる、ソーシャルハラスメント、オンラインハラスメントの問題でもある。

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ただ、この件は慎重に考えたい。ときに表現の自由を抑圧される方向に利用される可能性があるからだ。すでに、社会問題について積極的に発言しているアクティビストなどは標的になっている。感情的な発言を探し出し、抵抗勢力が通報し、アカウント凍結にいたるなどの事件が発生している。なお、このようなアクティビストには日常的に誹謗中傷コメントが叩きつけられている。

さらに、あるプラットフォームで規制を強化したところで、他のプラットフォームに飛び火したり、より陰湿な手段でその人が攻撃される可能性だってある。Twitterではブロック、ミュートしていても、ブログや、匿名掲示板、さらにはリアルな場に飛び火する可能性がある。

今回の報道で、まったく触れられていなかったが、2年前にはインターネットの専門家Hagex氏が刺殺される事件も発生した。ネット上で誹謗中傷を繰り返すアカウントに対してHagex氏などが注意をしていたことを起点に悲劇が起きた。このようなリアルへの飛び火ということもありうる。

 

もちろん、プラットフォーマーとしての責任は今後も議論されるべきだろう。もっとも、よかれと思って導入したこの施策が悪用され、抑圧に使われることなどがないことを祈っている。また、人がネットで傷つくということの解決策の一つではあるが、万全ではないことを意識したい。

ネット炎上騒ぎなどもそうだが、根深いのが「誹謗中傷」か「批判」かという問題だ。私も何度も被害にあっている。たとえば、LINEが運営する論壇サイトBLOGOSでは最近まで匿名コメント機能が実装されており「パヨク」「茶髪豚野郎」「モップ頭」など、表現とは関係ないことで誹謗中傷され続けてきた。しかし、左系知識人の私を敵だと目す人がおり、巧妙に主義主張の批判を絡めてくるので、切り分けは難しい。