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# 芸能 # 働き方

木村花さんを守ることはできなかったのか?「働き方」視点で考える

「才能で食べる人」を傷つけないために

抜け落ちている「働き方」という論点

プロレスラー木村花さんが亡くなった。ご冥福をお祈りする。死因や置かれていた状況については、プロレスや芸能関連のメディアだけでなく、全国紙などをふくめ報道が続いている。これまでの報道では、彼女がリアリティーショー「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020」(くしくも、この原稿執筆後、制作中止が発表された)に出演していたこと、SNSなどで誹謗中傷コメントが殺到していたことなどに重点が置かれているように見える。

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しかし、メディアの報道や著名人のコメントを読んでいても、どうも腑に落ちない点が多々ある。SNSの誹謗中傷に過度に論点が集中してしまっていないか。また、一部のメディアでは触れているものの、リアリティーショーというものの特性と視聴者の理解度、出演者を守るためのスタッフ側の配慮に関する議論が十分ではない。人が傷つく原因となりうることを防止することと、実際に傷つき危険な状態にある人を守ることは段階が違うし、分けて考えなくてはならない。

ただ、それ以上に「プロレスラー」や「タレント」という働き方に関する理解や、いわば「才能で食べる人」「雇われない働き方」をする人をどう守るかという論点が抜け落ちている。働き方視点でこの問題を論じたい。

 

守ることはできなかったのか?

最初に結論を書こう。今回の問題で責任が重いのは、リアリティーショー「テラスハウス」の番組関係者であり、木村花選手が所属していたスターダム(昨年から新日本プロレス同様、ブシロードの傘下となった)の関係者である。もちろん、SNS上の誹謗中傷は問題である。ただ、彼女が傷つく企画を放置した番組関係者、所属団体の罪は重い

後者に関しては同情の余地がないわけではない。プロレス関係者の話によると、この1ヶ月間、団体関係者や団体内外のレスラーがケアをしていたという。大切な所属選手を失い、しかも最後まですぐそばにいた仲間が亡くなったのだから、団体関係者、交流のあったレスラーも被害者だとも言えるだろう。報道でも、彼ら彼女たちの心のケアをするべきだという声も散見された。

しかし、結局のところ、彼女はリアリティショーに出演し、誹謗中傷を受け続けていた。不安定だったということは報道でも伝えられている。なぜ、番組関係者、団体関係者は出演を止めなかったのか。タレント(才能で食べている人というニュアンスで書いている)を守るという視点が希薄だったと言える。