お年寄りを敬う国・韓国で「高齢者の自殺」が異様に多いワケ

こんな事情があった
高安 雄一 プロフィール

大きな要因

儒教が社会生活に影響を与え、高齢者を敬う韓国で、なぜ高齢者の自殺が多いのか。その理由としては、生活が苦しいことが挙げられる。韓国では年金制度が成熟していない。公的年金の受給年齢以上である人のうち何%が年金を受け取っているかをみると、2019年で41.6%と半分以下にとどまっている。

また、公的年金制度が発足したのが1988年で、国民皆年金は1999年にようやく実現したため、年金保険料を支払った期間が短い高齢者が大半である。よって公的年金の受給資格がない高齢者が少なくないとともに、受給資格があっても、満額にはほど遠い金額しか受け取ることができない高齢者が多い。

韓国では年金制度が未だ成熟していないなか、従来は子が仕送りで高齢の親の生計を支えていた。しかし高齢者を仕送りなどで私的に支えてきた世代の生活が雇用の流動化や教育費負担で厳しくなってきた。高齢者にとって最後の砦は生活保護(韓国では国民基礎生活保障と呼ばれる)であるが、扶養義務者が一定以上の所得や資産があると支給対象から外れるなど受給のハードルは日本と比較して高い。

 

韓国で自殺死亡率が世界で一番高い背景には、高齢者に対する社会保障制度が十分に備わっていないなか、近年になり子からの支援が期待できなくなり、経済的に困窮する者が増えたことがある。今後高齢化が急速に進む韓国では、高齢者に対する社会保障制度を手厚くすることは財政的に簡単ではなく、今後も高い自殺死亡率が続く可能性は否定できない。