お年寄りを敬う国・韓国で「高齢者の自殺」が異様に多いワケ

こんな事情があった
高安 雄一 プロフィール

若年層の自殺率はほとんど変わらないが…

韓国の自殺死亡率はなぜ高いのだろうか。韓国は若者の自殺が多いような印象を日本では持たれているように思える。これは、SNS上でのトラブルなどで若手芸能人が自殺に追い込まれたなどのニュースの影響もあろう。

また、韓国は大学の受験が熾烈であり、若者にとって超ストレス社会となっているといった情報も、韓国では若者の自殺死亡率が高いといった印象の原因と考えられる。

実際には日韓で若年層の自殺死亡率の差は小さい。2018年の自殺死亡率を年齢階級別にみると、10歳代は韓国で5.7、日本で5.9と僅差ではあるがむしろ日本の方が高い。そして20歳代も、韓国は17.6、日本は16.8であり韓国の方が高いが僅差である。つまり20歳代までは日韓の自殺死亡率に大きな差はないのであり、差が出てくるのはそれより高い年齢層においてである。

30歳代は、韓国と日本の自殺死亡率は、それぞれ27.5と17.7、40歳代は31.5と18.5、50歳代は33.4と21.8、60歳代は32.8と17.9と10を超える差がついている。

そのようななか、最も大きな差がついているのが70歳代である。

〔PHOTO〕iStock
 

日本の70歳代の自殺死亡率は18.3であり、日本の40歳代と50歳代より若干であるが低くなっている。すなわち、日本では70歳代の自殺死亡率は他の年齢層と比べて特段高いわけではない。

韓国は事情がまったく異なる。70歳代の自殺死亡率は48.9であり、日本の2.7倍に達しており、韓国の他の年齢層と比べても突出して高くなっている。韓国の自殺死亡率は高齢層で高くなっているのである。ただし昔から高齢層の自殺死亡率が高いわけではなかった。 

70歳代の自殺死亡率は1990年代には13.0であったが、2000年には39.5となり、2010年には83.4と大きく高まった。2010年代が進むにつれ相当程度下落はしたものの、まだ他の年齢層とくらべて高い状況には変わりがない。