「夫への感謝」で変わっていった関係

不思議なことに、友希さんの気持ちの変化に応じて、事態はみるみる好転してきた。
「その日以来、なぜか子どもたちが普通にパパの話をしてくれるようになったんですよね。それまでパパに遠慮しながら会っていたのが、そうではなくなって、うちに来ていっしょにごはんを作って食べるみたいな、ごく自然な面会もできるようになった」

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時は過ぎ、今から2年ほど前だから、離婚して7〜8年経ったころか。子ども2人が友希さんの家でごはんを食べるというので、春巻きを大量に作った。

「娘が『パパが、おまえたちはママのところに行けていいな、パパは今夜はカップラーメンだ、って言ってたんだ』って言ったの。それまでも、おかずをお土産に持たせたりしてはしていたんだけど、なんか突然、思い立って『じゃあ、パパにいっぱいごはんあるから、食べに来る? って呼んでみる?』って言ったの。そうしたら、すごいうれしそうな顔をして。きょうだいで、どうする? どうする? って相談して、結局、連絡したら、断るだろうと思っていたのに、本当に来たのね。それで、すごい久しぶりに4人でごはんを食べて…。微妙な空気が流れて、そんな楽しい食事ってわけではなかったけど(笑)、でも私の中では1つ、ステップが上がれたような感じがありました」

食卓を一緒に囲めるようになった。それは、大きな一歩だった Photo by iStock

離婚して11年、10年間の結婚生活を超える月日が流れた。子どもたちは父親のことも母親のことも大好きなまま、すくすくと育った。

かわいい盛りの子どもを置いて出たことは、痛みとしてはっきりと残り、消えはしない。それは一生、受け止めていく覚悟だ。でも一方で、もう一度、同じ選択を迫られても、やはりこの道を選んだとも思う。

「母親としてどうなのかって、批判を受けることは十分にわかっています。でも、もしあのまま結婚生活を続けていたら、元夫と私はそれぞれのいいところを認め合えず、今も憎み合っていたんじゃないかな」

友希さんには、やりたいことがたくさんある。今は、会社勤めの傍ら、コーチングの勉強もしている。心の支えになる人もできた。「結婚」という形は望んでいないが、その人のことは大好きで大好きで、友希さんの原動力となっている。
「一度きりの人生、後悔しないように」。友希さんは、前へ前へと進んでいく。

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