教育ジャーナリストのおおたとしまささんが2019年9月に刊行した『21世紀の「男の子」の親たちへ』はベストセラーとなった。そして2020年5月に、待望の「女の子編」『21世紀の「女の子」の親たちへ』(祥伝社)が刊行。「男の子」編と同様、女子校の名門の先生方に話を聞いた上で、おおたさんが「今」にアップデートした「女の子育児」についてまとめている一冊だ。

登場する先生方は桜蔭、鴎友、吉祥女子、神戸女学院、四天王寺、品川女子、女子学院、洗足学園、豊島岡女子、ノートルダム清心、雙葉と、日本を代表する名門校の教諭ばかりだ。

発売を記念して本書より特別抜粋掲載する最終回は、ずばり「『いい親』とはどんな親か」について分析する。鴎友と女子学院の先生方が親たちに伝えたいこととは。

「すごい親」は子どもを
自分の作品にしてしまう

日々競争社会の中でもまれているがために他人との比較が癖になっている親御さんも多いかもしれませんが、その感覚のまま子どもを見てしまうのは危険。

「自由に、自分の好きなように生きてくれればいいと思っているんです」などと言う一方で、「最低限、偏差値50くらいは超えてくれれば……」とか「MARCH以上には行ってもらえれば……」などという話を聞くことがあります。社会の中で、相対的に優位な立場にあってほしいという願いの表われでしょう。気持ちはわかります。

でもこれは2つの意味で罪です。1つはわが子の価値を他人との比較で評価していること。もう1つはハードル設定を自分の感覚で行なっていることです。それでは子どもは、自分自身のことを見てもらえていないと感じてしまいます。鷗友学園女子中学高等学校の大内まどか先生は次のように指摘します。

「会社なのか、同窓会なのか知りませんけれど、『うちの子は○○大学に入った』とか『○○中学に通ってる』とか、お父さんたちって結構自慢しますよね」

自分の娘が努力をして、誇らしい学校に進学した。それはもちろん素晴らしい。しかしもし自分の子どもが、自分の学校を自慢し、ほかを見下げるような言動をしたら、嬉しいだろうか Photo by iStock